碧落の砂時計 2008年09月

碧落の砂時計

オリジナル恋愛小説の作品紹介+更新情報+お話置き場。

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椿18。のほう、無事UPされました!あちらのサイトの日記でも呟いていますが、いよいよ終盤が見えてきました。前も言いましたとおり、テーマとして竹と似た展開や葛藤も出てきますが無事二人が結ばれるよう、がんばります!

本日は今まで使っていたフォームメーラーさんがいつの間にか新しくなっていたので、後日実施予定のサイトアンケートを作りながら、メルフォやURL申請フォームも作り変えていたら、ランキングタグを間違えて全部消してしまって泣きながら復旧&整理していました。

って、あああ!金魚続編の6話目(下書き)書かなきゃなのにいいい!
ブログとweb拍手に拍手くださる皆様、ありがとうございます!更新分も早速読んでいただけて、自分は果報者です(涙)
第3話は寸止めで終わってしまい、あれでよかったのかと心配しておりましたが、拍手いっぱいいただけて涙涙です…!今後、えちいシーンもぼかしながら書いていくので、そちらもまた読んでいただけましたら嬉しいです><

ちなみに第4話は花火編なのですが……「ネムリヒメ。」でも花火編書きましたよね;夏好きで本当にごめんなさい。微妙にかぶらないようにはしてますが、微妙にかぶってます(泣)
ネムリヒメ。の方は「恋花火」という歌がイメージでしたが、金魚の方は「金魚花火」がイメージですねv主人公のキャラの年齢的にイメージが違うかなあという感じです。

以下、拍手コメントのお返事です!いつもありがとうございます。
※コメント「非公開」を選択された方はお名前がイニシャルですが、「公開」を選択された方はお名前書かせていただいてますので、ご了承ください(イニシャルだとかぶってしまうので…)。

>9/29 20時に「青竹迷風」に拍手くださった廣瀬様
いつもありがとうございます!あ、あれで悶えられますか…??(汗)悶えるエロスをお得意とされる廣瀬様にそう言っていただけて本望です!!

>9/30 9時に「青竹迷風」に拍手くださった悠風様
上記にもありますように、今回寸止めで終わってしまいご不評ではないかと心配でしたので、そのように仰っていただけてとてもとても嬉しいです!5話以降では寸止めばかりじゃなく、どろどろとえっちいこともしてしまいますが、また読みにきてやっていただけましたら幸いです~。お言葉を励みに頑張ります♪

>9/30 12時に更新日記に拍手くださったH様
またもやコメントありがとうございます!ア、アンケートまで楽しみにしていただけるなんて、本当に本当にありがたいです!(涙2)設問はたいしたことないものなのですが、お礼の小話頑張って用意いたしますねっ!
10月上旬には用意出来るかと思うので、その時は、よろしければご協力お願いします…(礼)
 

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幻影金魚続編、「青竹迷風」第3話UPしました&椿18。の方は掲載申請に出したので、近日中のUPになるかと思います。
いつも拍手くださる皆様、ありがとうございます!ブログ記事のひとりごとにも拍手をいただけて、嬉しいですv

さて、この先のお話ですが椿も竹も近親者(家族間)の恋愛がテーマなので(そーゆーの好きでごめんなさい~;)、なんか展開が似てきそうだなあと予感しています;;
義理の姉弟と従兄妹、R18とR15以下(未満?)ということで、微妙に相違点はあり、片方しか読まれていない読者様もおられると思うのですが、ありがたくも両方読んでくださる方にはすみません…!
ただHして終わり、というのでもよかったのですが、現実的に本当に幸せにしてやりたいなあと思ったので、それぞれのカップルのもうちょっと未来までを書くことにしました。もちろん、ハッピーエンド至上主義ですがv

ランキング登録も徐々に増やしておりますが、色々考えるところもあるので、そのうちですが皆様にアンケートをご協力いただこうかな、と考えております。今回はお礼SSをご用意しますので(お礼になるのかわかりませんが;)、その時はよろしくお願いいたします~。


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 公園の隅で木と倉庫の影に隠れるように。
 こんな昼間から、誰かに見えているのではないかと心配しながら。

 それでも止めることが出来ないというように、汗ばんだ肌を寄せ合ってしまう二人。

「お、怒ってる……?」
 彼女から誘ったという負い目があるのか、清矢郎の腕の中のあさぎは心配そうに尋ねてきた。
「怒って、ねえよ」
 細い、女の子独特の柔らかい身体の感触が嫌でも伝わる。欲望に飲み込まれないように、必死で自分を抑えながら清矢郎は低く、呟いた。

 この彼が自身を抑える時の無表情と声色が、彼女に「怒っているのか」と思わせる所以なのだが、切羽詰まっている少年は自分では気付かない。あさぎが何故怯えるのか分からず、彼もまた心配になっているほどである。

 しかし先程からそうして何度も尋ねられるので、怒っていない、の証明に彼は少女を強く抱いてみた。
 びくん、とあさぎの身体が震え、清矢郎のTシャツをぎゅっと掴む。二人の身長差は二十センチほどあるので、清矢郎にしてみればあさぎは壊れそうなほど華奢に感じてしまう。
 しかし苦しげであったがあの行為で自分を最後まで受け入れられたということは、子供を産むということからしても、女性というものは丈夫に出来ているものなのだな、と少年はそんなことに内心、感服していた。

 女の子特有の甘い匂いが、清矢郎の鼻腔をくすぐる。生理中だと言われたからか、何か鼻につくような、独特の匂いもよくよく嗅ぎ分ければ感じ取れるような気もしたが、彼はそれすらも「あさぎ」として丸ごと感じ入っていた。
 ……やはり自分は、相当おかしくなっているのだろうか、と思いながら。

 このまま寄り添っているだけでも十分幸せなのだが、意外と人の通りがなく気が大きくなってきたのか緊張が解け、無意識のうちにその手を動かしてしまう。
 さらりとした黒髪と、柔らかい頬に、これくらいならよいだろうと触れてみる。

「ん……」
 くすぐったいのか、まさか感じたのか、あさぎが鼻に掛かった声を出し、また身体をぴくりと反応させた。清矢郎が見下ろしたあさぎの顔もほんのり染まっているので、彼女もまた気持ちが高まっているものと思われる。
 もっとその声を聴きたいと本能が囁き、清矢郎はその指で髪をかき上げ、耳に触れる。頬に、首に、――唇に、丁寧に長い指をはべらせる。

「ひ、や……っ」
 あさぎは清矢郎の眼を見上げて、妙な声を出した。困ったような、潤んだ眼をしている。
 やはり変態と思われたのか、嫌われる前にやめた方がよいのかと、清矢郎の手が顎で止まる。
 しかし彼が微かに心配そうな色を見せたのを、あさぎは敏感に察したのか、首を小さく横に振ると、その眼をとろりとさせて、やがて閉じた。

 ――どくん、どくん。

 この音は、相手の心音なのか、己の心音なのか。


 気が付いたら、相手に唇を重ねていた。


 柔らかく、小さなそれを優しく啄ばむように。
 一週間しか経っていないが待ちわびていたその感触に、少年は本当はその間に舌を割り入れ、屠りたいと思った。犯したいと思った。

 しかし、それ以上はしてはならないと清矢郎は必死に押し留まる。舌を絡めれば、本能的にそれ以上のことがしたくなるからだ。たとえ外であっても、彼女が月の血を流していたとしても、きっとこの欲求を止められない。

 自分の浅ましさを彼は自覚している。
 本来の十八歳であれば、暴走してもおかしくない。だが彼は常に自戒していた。それが鎖のように強い力で、彼の欲望を締め付ける。
 幼い頃から厳しい父親に抑圧されてきたからか、優しい母親に心配掛けたくないと心に決めたからか。
 まだ性行為自体に慣れていないので、肉欲に任せて十六歳の少女を孕ませてはならないと思う気持ちもある。それでもいつも避妊具を持ち歩いているあたりが、清矢郎自身も矛盾していると思うのだが。

 彼はぐらつきそうな心を自分で叱咤すると、もう一度唇を強く押し付け、柔らかいそれを舌で舐めとると、思い切ってあさぎから顔を離した。

 脳と身体を燃やしながらも彼は薄目を開け、周囲や少女の様子に視線を配っていたが、その間、あさぎは眼をぎゅっと閉じて彼から施される行為を受けていた。
 彼女が眼を開ける前に、何事にも動じないふりをしているあの無表情に戻さねばと、熱いため息を吐きながら少年は思っていた。

 ――ホントウハ、触レタイ。

 もう一人の彼を、押し殺して。

 そしてとろりとした眼を開いたあさぎは、清矢郎の眼をじっと見ると、先程以上にそれを潤ませ、何か言いたげに唇を開こうとした。
 その仕草を見てせり上がる衝動を堪える代わりに――、清矢郎は突如として、あさぎのふわふわの頬を軽くつねったのであった。

 
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今朝の冷え込みにびっくりですね。山間部に住んでいるので震えてます…。皆様も体調にはお気をつけくださいませ~。
2~3日家にいなかったのですが、明日辺り椿の続きを下書きできるといいなあと。

その間に拍手パチパチくださった皆様、ありがとうございます!本当、万年スランプの人なので励みになります…(ホロリ)
金魚続編は、現在第5話くらいまで下書きしていますが、今はまだほのぼの微えろですが段々ダーク?な展開になってきています…。
真面目少年視点ですし、過去の「事件」にも触れていくとなると、やっぱ彼はそれだけやばやばなことをしてしまっているので;今更ながらなんつー設定だよ、と思います。
でも彼が何を考えているのかとか、主人公との会話シーンとか、本編ではほとんど書けなかったので書きたいなあとやっぱり思います。
途中痛々しい展開になるかもしれませんが、最後はハッピーエンドをお約束しますので、お見捨てにならずにお付き合いいただけましたら、幸いです!

あああ、折角ブログ形式にしたのに、日常ブログが中々書けないでいます。思うことやってることモエることは日々色々あるのですが~。


というわけで、以下、拍手お返事です。

>9/26に拍手でメッセージくださったH様
いつもいつもありがとうございます!最新作まで読んでいただけて感激です!そしてそしてお言葉に涙しております。今後も飽きられないような作品が書ければいいのですが…!がんばりますっ。
体調の心配までありがとうございます~。更新もオフも身体が資本ですので気をつけますね。H様もご自愛くださいませ♪


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幻影金魚続編、青竹迷風第2話UPしました&椿18。の方も今日、UPになりました。
竹の方は週末にしようと思っていたんですが、時間が取れないかもしれないので、同日UPとなりました。

金魚の続編の方を早速読んでくださった皆様、コメントくださった皆様、誠にありがとうございます!!
ブログ自体がアダルトカテではないので、R15以下の表現に抑えたいとは思っていますが…相変わらずの読んでいるほうが恥ずかしいほどの甘甘で、ほんとすみません;

青が好きという話をしましたが、相手役は竹=イメージですが、青に近い緑かもしれないなあと、タイトルや名前の「清」の字から思ったり。
ちなみに「矢」は「嚆矢(こうし)」という言葉からとってます。
本編時、時代劇観ながらプロット立ててたから、剣道少年だし、やけにものものしい名前になりました;(前にも言いましたが、「幻十郎必殺剣」というドラマを見ていた時だったので、プロット段階で何度も「清十郎」となりそうになって、若い名前を一生懸命考えていました(苦笑))
というかそもそも「あさぎ」の名前自体が青いですね。言霊の話ではないですが、キャラにも名前から生まれるイメージはあるんでしょうね~。

以下、ブログ拍手お返事です。拍手パチリも、ほんと励まされます、ありがとうございます!

>9/23 13時「青竹迷風」にご感想くださったS様
こちらこそ、続編まで読んでくださってありがとうございますっ!本編から時間を置いてしまったのもあり、事後の二人を受け入れていただけるかなあと心配しておりましたが、お言葉とても嬉しいです。
今後の二人の行く末を見守っていただけましたら幸いですv頑張ります!

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『――責任、とってよ』

 この秘密の恋人関係が始まるきっかけとなったのが、彼女のこの言葉である。

 四年前、清矢郎はあさぎに対して罪を犯した。まだ十二歳であった彼女を性の対象としてしまい、深く傷つけた出来事。
 彼は罪を償いたいと思っていた、相手が何より大切な少女であったから。その代償として、彼女が「自分」を求めてくれたことを、申し訳なく思うほどだ。
 あさぎと結ばれることでその罪を帳消しにしてもらえたとしても、罪には変わらず、彼は彼女に対して負い目があった。
 責任の取り方など少年には分からないが、彼女が望むことは、全て叶えてやりたい――それが彼なりの少女への「愛情」であった。

 しかし彼女が望んだからと言っても、結局は自身の欲望の為に、彼はこの少女を抱いてしまった。身体が傷ついたのは、今回もやはり彼女の方なのである。
 痛がるあさぎの表情が、清矢郎は今でも忘れられない。再び心を壊してしまったのではないかと内心では不安に思っている。

 こんなおかしな関係が、「恋人」と言えるのか分からない。だが、誰にも譲りたくない、ただ大切にしたい、この二つのことは、今の清矢郎には彼女以外に抱かない感情であった。
 だからこんな風に彼女を怯えさせるようなことは、二度としたくないと彼は思っていた。


 そうしたことから、清矢郎は不安そうな顔をするあさぎを邪険に出来ず、再び眼を逸らすと、はあーっとため息をつく。そしてこいつには勝てない、と観念したように言葉を続けたのであった。

「『あれ』から、あさぎが、どうだったか……大丈夫だったのか、気になってたから」

 ――だから、顔が見たかった。

 「あれから」というのは、二人が最後に会った――初体験を済ませた、一週間前のことだろうとあさぎにも理解できた。彼女は清矢郎を見上げたまま、ほんのりとその頬を染める。

 言葉少なだが、これには様々な心配を含んでいる。あさぎの体調も、心理状態も、家族に知られていないかと言うことも。勿論、初めてのことであるのであれで避妊方法が正しかったのかも、少年には自信がない。
 多く語らない清矢郎であったが、彼を誰よりも理解しているあさぎは、彼が優しさから自分を案じてくれているのだろうと、その一言で察した。

「大丈、夫……ばれてないし。もう、痛くないし、……せ、生理も、今日来たし……」

 今度は俯くと恥らいながら小さな声で言う少女の言葉を、清矢郎はほっとした気持ちで聞いていた。
 その反面、避妊方法はやはりあれでよかったのかと安堵したり、期待はしないでおこうとしていたが今日は「出来ない」のだな、ということを思ってしまう自分の俗物ぶりに、どうにも嫌気がさしていた。

 だから彼は最も尋ねたいことを聞くことはなかった。

 ――本当に、自分と「した」ことは、嫌ではなかったのか。また触れたいと思ってくれているのか。

 もし自分を嫌ってしまったのならば、もう会いたいなどと言わないだろうから、とりあえず嫌われてはいないだろうと清矢郎は思うことにした。
 だが、彼女が実際の体験後、セックスの方に嫌悪感を持ってしまった可能性もないとは言えない。

 清矢郎が悶々と考えている胸の内は、あさぎには見えない。彼女には彼が今でも清廉な竹に見えていることを、彼は知らない。
 しかし彼があれからずっと彼女を気にしていたことを知ったあさぎは、もう一度清矢郎のTシャツを引っ張ろうとした……が、その指をくっと握り一旦手を引くと、今度は固く締まった太い腕に直接触れた。

 少女の柔らかく少し冷たい手の感触に、清矢郎は自分でも驚くほど胸を波打たせ――表情にだけは出さないよう努めたものの――、あさぎを見た。

「せいちゃんが、い……いやじゃ、ないなら、……どっかで……くっつき、たい」

「――」

 清矢郎の眼鏡の奥の細い眼が、点になった。

「嫌ならいいよ」
とあさぎは消え入りそうな声で言い、耳まで赤らんで俯いている。えっちな子だと思われていないか、と少女はまた心配になっているのであった。

 ――まさか。この一週間、「触れたい」と思っていたのは、互いに同じ気持ちであったのだろうか。

「嫌、じゃねえけど……」

 喉がやたら渇きそんな事しか言えない自分が、二つも年上のくせに情けない、と清矢郎は悔しく思っていた。


 ・・・・・・・・・・


 そして三十分後、駅の裏手をしばらく歩いたところにある、人気の無い小さな公園の物陰で、一組の男女が周囲を気にしながら、互いの息遣いが聴こえる距離まで身を近づけていた――。


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 夏休み中の図書館は空席が心配されたものの、開館からさほど時間が経っていないからか、直ぐに席は見つかった。と言っても、個席は既に埋まっており、大きなテーブルの隅に腰掛けることになる。

 まだ人数の少ないテーブルにの席に、清矢郎は荷物を放る。あさぎは彼にちょこちょことついてくると、「いい?」と確認するように清矢郎を見上げながら、その隣に荷物を置いた。
 なにやら小動物のようだな、と清矢郎はふと思う。だが向かいの席では確かに距離が離れてしまうため、二人は並んで座ることにした。

 元々無口な彼なので不便はないが、いくらカップルといえども図書館でいちゃいちゃと語らうわけにもいかない。
 かと言って、あさぎもまさか一日中黙って此処にいたいわけでもないだろうと彼は考える。清矢郎は先程からもごもごと何かを言おうとしているあさぎに、ぼそりと提案した。

「昼飯、どっか食いに行くか」
「……、うん」

 あさぎはほっとしたように、素直に頷いた。逆にその表情に、折角のデートを白けさせたわけではないことに、清矢郎もまたほっとしていたのであった。

 冷房の効いた静かな室内で、紙を捲る音やペンを走らせる音が少年の耳に聴こえてくる。ごくたまに横からTシャツを引かれ、年下の彼女に文法などの質問をされて、それに答える。
 また無言が訪れる。ふと隣を見れば、少女が黒髪をかき上げながら熱心に英単語にマーカーを引いていた。視線に気付いたあさぎが清矢郎の方を振り向くが、彼は何も言わずに再び自分の参考書に眼を落とした。

 すぐ隣に少女の息吹を感じる。四年間も避けていた彼女が、本来、家族が知りうる日時にしか会えない筈の血の繋がった従妹が、当たり前のように一人の女として、自分の隣で自然に過ごしている。

 それを「幸福」と分類できるものに彼は感じ、こういうのもいいものだな、と一人で頷いていた。


 ・・・・・・・・・・

「ごめんね」

 昼下がりの路上で車の雑音に混じりながら、あさぎが清矢郎に対し、唐突に謝った。

 昼食を取った後、二人は本屋に寄ったりと目的もなく歩いていた。今日来ている場所は二人が通っている高校のある市内であるので、互いに土地勘もあり、時間を潰せる場所も知っている。食事の場所も、あさぎが友達と入った事があるというお気に入りの店にした。

 再び図書館に戻っても席はないだろうということから、まだ早い時間ではあるがなんとはなしに、足は駅の方へと向いている。その途中であさぎはそう呟いたのであった。

「何が」

 清矢郎はあさぎを見下ろす。彼女は口を尖らせると、指を組んだ手を前に伸ばしてぶつぶつと言う。

「受験生、付き合わせて悪いなって。結局、勉強もちょっとしか出来なかったし」
「……別に二十四時間勉強してるわけじゃねーし、こっちだって息抜きくらいしてえよ」

 無表情ではあるが、内心では彼女にそのように気を遣わせて悪いと思った清矢郎は、即座にそう返した。あさぎの戸惑いに、ないようでしっかりとある二つの年の差を感じている。
 まだ高校生であるため、学年が違えば互いに互いの置かれた状況は理解出来ないものであろう。特に彼女は、清矢郎がすることは二年経たないと経験出来ないことなのだから。

 そう思いながらもにこりともしない彼に、「家族」としてはその表情に慣れてはいるものの「恋人」としては不安を感じるあさぎは、しつこく問い掛けてしまう。

「ほんと? 息抜きになってる?」

 四年という口をきかなかったブランクが二人の間にあるが、その前までは幼いあさぎがこんな風に彼にまとわりついてきていたことを、二人とも既視感を持って思い出していた。
 あさぎは清矢郎に甘え、清矢郎はそんなあさぎを疎ましいと思わず、寧ろ懐いてくれて嬉しいと感じていた。
 そしてその感覚を、二人は取り戻そうとしていた。

「あー。なってるなってる」
「なら、こっち見てよー」

 そう言って清矢郎のTシャツをまた引っ張るあさぎに、彼は伸びる、とそれを離させると歩きながら彼女を見下ろした。

「思ってもないことは、俺は言わん。……それに――」
 
 きっぱりと言われた彼らしい言葉に、あさぎは眼を瞬かせて彼を見詰め返す。しかし彼がもう一言何かを言いかけたため、
「それに?」
と再びTシャツを引っ張った。

 清矢郎は思わず口走ってしまったものの、あさぎは最初の言葉で納得していたようであったので、やはりそこで終わらせておけばよかった、と後悔するように汗をかいた頭をがりがり掻いた。返答に困り、あさぎにTシャツを引っ張られていることも忘れるほどである。

「言ってくれなきゃ、恐い……」

 更にあさぎはそこで急に心配そうに眉を寄せると、両想いになる前のような不安な表情で清矢郎を見詰めてきた。

 ――確かに、まだ付き合って一週間なのだ。信じては欲しいが自分は「前科者」であり、確かなものなど、何もない。
 そう思った清矢郎は、さてどうしたものかと押し黙った。

 
>>第2話後編へ
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現在椿の下書き中です。深夜~明日には掲載申請しますので、また水曜日UPでしょうか、といった感じです。
今週末またちょっと不在かもしれないので、金魚の続きも水曜日頃にUPされると思います~。早速番外編を読んでくださり、拍手くださった皆様、励みになります。本当にありがとうございますっ!!

ブロともでリンク先の廣瀬さんにも、番外編のことを素敵ブログで紹介していただき、誠にありがたいことです(涙)
ほんと営業がんばんなきゃいけない、弱小サイトなので…。

昨日はかなた様のサイトもリンク追加させていただきましたしv胸キュンの恋愛小説サイト様です。皆様、ぜひにどうぞ!

さて、金魚の番外編を書いていて思うのですが・・・
ありがたくも金魚の話は好評をいただいており、中でもやはり性欲が金魚として見える女の子、という設定を気に入っていただけるのですが…これ、今思い出しても、なんでそうしたか思い出せないんです;

いやほんと、「金魚をモチーフに使いたい」「従兄妹同士の危うくてHな関係が書きたい」「ロリもの書いてみたい(おい!)」のみっつの願望に、

過去に書いた「鬼闇」に見られるように、現実と妄想、そしてファンタジーの境があやふやな世界観が好きなので、当時参加していた企画の趣旨から、18禁にならないためにはそういうぼやかした雰囲気でいこう!というのが合わさって、

気が付いたらああなっていました。

あと金魚=「赤」=血=生理とか処女喪失というイメージは、「赤いおとしもの」とかのようにそれも元々「性」をテーマとする時に使っていたものなので(生理ネタはネットを始めるもう十年以上前に書いたような、別のネタもあるほどで…苦手な方、ほんとすみません!)

でもそれらがどう化学融合したのか。自分でも分からず気が付いたら、あの設定で書き始めていました。
だからもう一度、ああいうお話を書こうと思っても書けないんです(涙2)
まあ、今思いつくものをのんびりと書いていきたいなあと思いますが…。中々思い通りのネタは出てこないものです;

あ、椿が椿という名前なのも、「赤」=上記の解釈で女性の象徴、からの連想かもしれません。桜も好きですが椿の花も好きですよv金魚と言えば金魚草、大好きvvvかわゆい。
でも一番好きな色は、サイトイメージのとおり青なんですがね;


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というわけで、こちらもリニューアルです。
今週の激動?の更新履歴…↓

・9/14 もしかしたらの神様。完結
・9/17 椿18。UP
・9/19 「幻影金魚」番外編連載開始
・9/20 更新情報リニュ

もしかしたら~が完結したので、さあ手直ししようと読み返したら…なんか冒頭が妙に恥ずかしくて読み進められなかった…;ま、またあとでチャレンジしよう!

番外編の方やブログの方、拍手早速押してくださってありがとうございました!
以下お返事です。

>廣瀬さん(番外編拍手お礼)
早速ありがとうございます~!廣瀬さんの描かれる男心に比べれば、まだまだ拙くガキなのですが、今後も精進しますv

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 このお話は、「幻影金魚」という15禁恋愛小説の番外編(後日談)になります。
 本編を読まれていない方へのあらすじ説明、ネタバレの注意はしておりませんが、本編を読まれていなくても大体のお話は分かるかと思います。
 ですが、本編を読まれるともっと面白味が増しますので、よろしければ上記リンクまたはサイトより本編(完結済)も併せて読んでやってください。

○番外編あらすじ:

 高校一年生の従妹の少女・あさぎに対し四年前、ある「罪」を犯してしまった高校三年生の清矢郎。
 しかしその秘密の出来事をきっかけに、少女は彼のことを思い出すと――即ち、性的なことを考えると金魚の幻覚が見えるようになってしまったという。
 彼女へ謝罪し、贖罪と幼い頃から抱いていた想いから彼女の望むまま、そして己の欲望のままに少女を抱き、心を通わせ付き合うようになった二人だが、青年になりゆく少年の心はその初めての関係に酷く、惑わされる――。

 (簡単に言いますと、従兄妹同士で付き合い始めた不器用な2人の、らぶらぶえっちなお話です。ほのぼのしたやりとりも心がけていますが、全体的にシリアスな雰囲気になります)

※15禁程度のぼかした表現になりますが、少年少女間の性描写があります。不快になる恐れのある方は、閲覧をお控えください。

 ご意見、ご感想等ありましたら、各話の一番下にある拍手またはコメント欄をご利用ください。お返事は拍手の場合はブログで、コメントの場合はコメント欄へ書かせていただきます!

○目次:

第1話 「想い」(前編後編
第2話 「逢瀬」(前編後編
第3話 「欲望」(前編後編
第4話 「背徳」(前編中編後編
第5話 「罪」(前編中編後編
第6話 「葛藤」(前編中編後編
第7話 「決意」(前編中編後編
第8話 「忍ぶ恋」(前編中編後編
第9話 「約束」(前編中編後編
第10話(最終話) 「  」(前編中編後編


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 それから、一週間後のこと。

「……勉強、大丈夫?」
「ああ、」
「怒ってる?」
「別に」
「なんか怒ってる」
「いつもどおりだろ」

「そりゃ、そうなんだけどさ……」
と、清矢郎の隣を歩きながら、肩を少し越す長い髪の少女――あさぎがぶつぶつと口の中で呟いている。この二つ年下の従妹の少女こそが、現在少年の心を乱している張本人なのである。

 清矢郎は怒っているわけでは全くないのだが、元からこういった顔と喋り方なので仕方がない。しかし彼女にそう言われて、こんなことでは嫌がられてしまうか、とふと心配になってしまう――それが彼の表情に微塵たりとも表れないことが、この少女を怒らせたり不安にさせる一因なのだが。

 初めてのセックスの後、夏休みに入り直ぐにあさぎから「会いたい」とメールが届いたのであった。
 メールのやりとりは、あの後も彼女の身体が気になっていたのもあり交わしていたが、それでも嫌われているかどうかなど、その文面からは分からない。よって清矢郎は彼女からそう誘ってくれたことには、非常に安堵していた。しかしそう思いながらも、そのメールのやりとりもぶっきら棒なものであったのだが。

 デートの内容は、「図書館で勉強しよう」というなんとも可愛らしく真面目なものであった。あさぎなりに、受験生である彼の邪魔にならないように気を遣ったのだろう。
 元々純情でお堅い二人は、まるで中学生のような初々しい様子で市立図書館までの道のりを歩く。互いに初めて異性と「付き合う」ということをするため、何をしてよいか分からないということもあった。

 ――付き合うより前に、既に身体の関係を結んでいることを除いては。

 そのギャップが、くすぐったいような感じも少年にはしていたが、それは少女も同じなのだろう。
 ちらりと少年を見上げては、眼鏡の奥の瞳と眼が合い、恥ずかしそうに慌てて俯く。そんな仕草をされれば清矢郎も無表情は保つものの、益々むず痒いような、身体の奥から何か熱いものが湧き上がってくるような、おかしな気持ちに飲み込まれそうになる。

 ――ふと、触れたいな、と思った。華奢で細い、その身体に。白い頬に。

 そんな性欲の強い自分に心底呆れ、軽くため息をつきながら清矢郎はあさぎから眼を逸らす。
 その態度が少女を「やっぱり、無理に会いたいって言ったから怒ってるのかなあ」と不安にさせていることに、少年は気付かずにいた。

 そしてあさぎが心配そうに清矢郎を見上げてきた視線を見返すと、彼はふと思い出したように問い掛けた。
「まだ、見えるわけ?」
「え?」
 あさぎは入道雲を背景に、清矢郎を見上げた。

「――金魚」

 清矢郎はあさぎを見下ろしているのだが、自覚しないまま、どこか笑ったような優しい表情をしているその顔を見て、少女はきょとんとした後に、ほんのり頬を染めた。そしてこくん、と恥ずかしそうに頷いた。

 彼にはあさぎが見えると言う、「金魚」の幻影は見えない。今の瞬間、少女の視界に赤い金魚がぱっと増えたことも分からない。だが、
『せいちゃんのこと、考えるたびに、見えるの――』
不思議なことを言う少女であるが、その幻影は自分への恋心が具現化したものだと彼女は言うのだ。

 変わった表現でも、彼女らしいと思えばそれすらも可愛らしく思え、やはりくすぐったい気持ちにはなる。
 ――そういう自分は、相当初めての恋に狂っているのだろうか。

 そう思うと無性に恥ずかしくなり、清矢郎はまたむすりとした顔になるとスタスタとあさぎの前を歩き出した。
「変だと思わないの?」
 あさぎは清矢郎の背中に尋ねた。
「別に」
 彼は背中越しに短く答えた。

 ……せいちゃんだって十分変な人じゃないか、と嬉しさの照れ隠しにあさぎがこっそり口の中で呟いたことに、同じく照れ隠しに彼女に背を向けて歩く彼は気付くことはなかった。


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 ざわり、ざわりと風の音。
 空に近くなればなるほど、風は強くなり枝は細くなる。枝の先の葉は幾重にも絡み合い、乱れて揺れる。
 青空の下に、暗い夜空の下に。緑の葉の間から、雲をかいま見せながら、風に、揺れる。
 ざわり、ざわりと心も揺さぶる。

 細く長く、高く、強靭にしなる緑の竹が、激しく音を立てて揺れる。

 ――赤い金魚は、何処に居る?


 ・・・・・・・・・・


 寝苦しい夏の夜に、精神(こころ)が火照ればなお寝苦しい。連動して、身体の奥底まで何処か熱いと感じられる。
 心は轟々と乱れようとも、外はねっとりとした無風。暑さも手伝い今宵、少年は眠れずに居た。

 部屋の電気を全て消した暗闇の中、少年――清矢郎(セイシロウ)は何気なく右腕を宙に伸ばした。引き締まったそれが伸ばされ、握られた掌が開かれて、力なく額の上に手の甲が置かれる。
 今しがた、自分の汚いものに触れていた、不浄の手だ――とそれを己の顔に乗せながら、少年はやるせない気持ちに陥っていた。

 
 今日、彼は生まれて初めて女を抱いた。


 子供の頃から気にしていた、一番身近な血も繋がった少女を。
 幼い頃、性的に傷つけてしまった、深い罪悪感を抱いていた相手を。

 その相手が彼のしでかした罪を詰りながらも、だからこそ彼を欲するようになってしまったのだと、今日、その想いを告げてきた。この身体が、心が欲しいと訴えかけてきた。
 それであの時の罪を赦されると思ってよいのか、それともそれこそが報いなのか、行為が終わった今でも少年には分からない。
 だがもしも彼女が他の男にあのようなことをされると思うと、それこそ面白くないと心は嫉妬にざわめき、彼女を抱いた今は独占欲が一層強くなっているのも確かである。

 求めてくれるのならば、受け入れたい、傍に居たい――触れたい。
 十八歳の少年は理屈などなくそう思っていた。

 幼い頃から自分に甘えてきた、少し不思議な可愛い少女。
 一番自分を理解してくれるのではないか、と錯覚させるほど感受性の強い女の子。
 その笑顔と心配そうな瞳に、何度も救われてきた血の繋がりのある女の子――。

 無口な彼はクラスの女子とはあまり話をせず、だからこそ家族以外に彼の心を揺さぶるほど親しい相手も出来にくい。
 後輩の女子に告白のようなものをされたこともあったが、話したこともないのに自分の何を知っているのかと理解出来ず、断ってしまったこともある。勿体無いと周りに言われたが、興味のない相手と話を合わせる気にもならなかった。それならば、従妹のあの少女に会いたい、と思ってしまうほどである。

 滅多に会えない彼女がそれだけ気になるのは、幼い頃傷つけてしまったからか、彼が初めて触れた「女」だからか。あの出来事の後、彼女が中学校に入学してからも一年に数回の、親戚の集まりで会える日を密かに心待ちにしていた。会っても眼も合わせず、口をきくことも出来なかったが。

 更に三年が経ち、彼女が同じ市内の高校に入学したことも、清矢郎は実は内心嬉しいと思っていた。駅で姿を見掛けるようになったからだ。勿論、彼女に嫌われていると思っている彼は、やはり声など掛けられない。
 しかし何故か少女も彼を探していたらしく、ちらちらと視線を送ってきたのであった。まさかその頃からそんな風に自分のことを想っていたとは、その時少年は想像もしていなかった――それも今となっては全て過去のことであるが。

 それらの回想からしても、今日の出来事……初体験は、彼にとって結局、「嬉しい」の単純な一言に尽きるのである。だが、それはただ単に、童貞を捨てられたから、だけではない。

 彼女の体液や血液で汚れたシーツすら感慨深いほど、満ち足りていた。直ぐに洗濯をしたところ、真夏の暑さに母親が帰ってくるまでには乾き、冷静に無表情を装っていたが、心の中では胸をなで下ろしたものであった。
 しかし夜になっても昼間の興奮がまだ冷めやらず、彼女のことを思い出しながら自身を甚振ってしまっていたという始末である。

 自分は馬鹿ではないだろうか、と少年は眼鏡を外した眼の上に、洗ってはあるもののその不浄と感じている己の手を置き、眼を閉じる。
 それなのに、何度でも、何度でも、このベッドの上で喘いだ高い声と、快感に眉を寄せた顔と、細く白い肢体と、己を締め付けた柔らかい肉部を思い出していた。


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