碧落の砂時計 2009年04月

碧落の砂時計

オリジナル恋愛小説の作品紹介+更新情報+お話置き場。

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うーん、4月に企画に参加して作品1本あげたことは今思えばミラクルでした。
5月になれば余裕ができるかと目算してましたが、とんでもない。その逆でした;最近、オフの事情で時間がまたなくなってしまいまして、1日1~2時間の自由時間じゃやれることはきついな~。
でも毎日何かしらは書いているので、ゆっくりとですがこれからも色々と書き続けていきたいと思います。自分なんかのものでも更新を待っていてくださる皆様には誠に申し訳ないのですが、こんなやつでもよろしければ、どうかまたお付き合いくださいませ。
(追記:体調中々よくならないのでしばらくは更新もゆっくりやりたいと思います…)

さて現在の執筆状況は、
◎ネムリヒメ、ロリポップの続きの下書き(追記2:ネムリヒメの方を先にあげるかもです)
◎幻創文庫新連載のプロットづくり(R18な幼馴染ものの、近々公開予定)
◎サイト微改装&アンケート入れ替え&新お礼SSの作成(今回のお礼は、結局「博愛チューリップ。」の続編短編に決定しました)

となります。
とにかく情けないことに現在体調の回復も遅いため、内容的にものんびりまったりと書きたいと思いますのでお待たせしてしまいすみませんが……なんかほんと、楽しみにしてくださっている方がいるのに、こんなことでごめんなさい。時間がほしいなあ(切実)

大根話の続きとかも書き溜めた分が残っていましたのでUPしましたが、拍手くださった皆様、ありがとうございます!
以下はいただいたメッセへのお返事となります↓

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睡眠時間削りまくってたら、やっぱり体調崩しました;峠は越えましたが、いつも同じパターンでなさけない…。
本日はいただいたご要望やリクエストなどのお返事です!

1.アンケートご意見より
◆日本を舞台にしたハーレクインのようなオフィスものも読んでみたいです。

→いつもサイトにお越しいただき、ありがとうございます!オフィスものはなんちゃってのものをLollipop!で初めて書いてみましたが、学園ものの延長みたいで筆力のなさを感じました;むずかしいですよね、大人の恋は…。
ハーレクインはすみません実は読んだことがないのですが、表現の幅が広がるといいなあと思っていますので、また研究したいと思います。色っぽい文章が書けるようになりたいです。すぐにご要望にお答えできず申し訳ありませんが、これからも精進します!

2.幻創文庫作品へのリクエストより
そちらの掲示板の方へ、お世話になりまくりのK様から素敵リクエストを頂戴しました~。18禁作品で、ですが、
◆同級生の幼馴染で
◆先生と生徒で(相手役は先生でも生徒でもOK)

という、確かに王道なんだけど諸事情で今まで書いていないものをいただきまして!
特に幼馴染ものはもう何年越しのキャラやシチュのストックがいくつかあるもんですから、ロリポップも第2部終わってこれから両想い編だし、また10代同士の(←おいおい)ぴゅあえろな恋の成長を書いてもいいかなーなんて思ったりしています。
ただ並行連載にするとそれぞれの更新が月1~2回になりそうなので迷うところですが…。あ、連載放棄だけはしないようにします!どれだけ時間が掛かっても、どれも必ず完結させますので。

…超余談ですが、幼馴染といえば上記の連載予定以外にR指定でないので、どうしても書きたいのが1本あるんですよね。
「もしかしたら~」に遊び人みたいな脇役がいたじゃないですか。実はあのキャラも10年越しのプロットからひっぱってきた人で、彼と彼の本命になっていく従妹の女の子の「罪」が絡む、もうどシリアスなお話(高校生編)。えろネタも少し絡むけど、当人同士のえろはストーリー上あえて書かないみたいなやつで。
下げてしまった鬼のお話も、R指定アリに再構築してどーんと中編で連載したいんですが…。この2本はなろうの方に投稿するかなあ。
というかラブコメに多くリクいただいているのに、思いつくのがシリアスばっかですみません;
できるだけ明るいシーンも入れるようにがんばります!

3.ネムリヒメ。シリーズ
前回のネムリヒメ。の修正に関しまして、ご指摘くださったN様、誠にありがとうございました!そして修正後の分も早速読んでくださってありがとうございます!いただいたご感想に号泣させていただきました~。
レス不要とのことなのにここに書いてしまって申し訳ないのですが、今回の3作目のシリーズの後もプロポーズ&結婚編、妊娠編(一夜が喜びつつもおろおろしている様子とか、生まれた子供をあやす源二とか(メッセより抜粋))等々ずっと読めたら…という拙作に勿体無いほどのご要望を頂戴いたしました。
読者様にウチのキャラをそのように思っていただけて、本当に本当に本当ーにありがたく思います!このシリーズをどこまで続かせるかまだ決めていませんが、検討させていただきます。(ちなみに以前にも似たご要望をいただきましたが、結婚~妊娠編とかって読みたい方、いらっしゃいますかねえ…??)

4.その他
H様、拍手メッセにて「博愛チューリップ。」への続編希望ありがとうございます!連載するならば書く順番としては、月姫最終回→もしかしたら~の続編、の後になってしまうかと思うのですが、とりあえず近日交換予定の次回アンケートお礼に本編終了後のほのぼのらぶらぶSSを書こうと思ってます。
(そしてやっぱり、時間を作ろうとして無理しました;お言葉、身に染みます…いつも言ってるだけでいけないのですが、気をつけます!)

各作品やブログ記事等へあたたかい拍手くださった方々、アンケートで応援メッセージ送ってくださった方々も、誠にありがとうございます~!!

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 中秋の名月まであと一ヶ月。互いに本心を話してもらえないと、たどたどしい態度をとる香具弥たち親子……のような二人。

 火衣に最近竹流の話をしないと指摘された香具弥は、思わずまじまじと彼を見た。
「そうなの?」
「――ま、まあな」
「ふうん……」
 再び黙って考え込み始めた香具弥に、火衣ははっと気付くと焦って尋ね出す。
「おめ……っ! まさか、あのクソ親父に……っ!?」
 しかし何を想像したのか、彼は赤+青=紫色の顔色になって慌てているが、
「んーん。別に何でも無いんだけどさ……」
香具弥はその的外れな心配に気付くことなく、溜め息混じりに曖昧な返事をした。

 が、火衣はその物憂げな言い方が余計に気に掛かり、だが詮索すれば心の傷をえぐるかもしれないなどとも思い、そうは言っても香具弥が大変な目に遭っていれば助けてやりたい――と、一人葛藤している。

 火衣の心中知る由もなく、香具弥は分かれ道から自分の通う高校へと向かったが、改めて指摘されたことを、何となく考えてしまっていた。
 竹流と自身の関係についてなど考えた事などなかったし、今までその必要もなかった。
 どんな関係かと周囲から訝しまれたこともあったが、そんなことは気にならないくらい毎日楽しく平凡に平和に暮らしてきた。
 ――だが自分は「香具弥」ではなく「月姫」という異星人だったと急に言われ、己の存在に不安を感じた時に、ふと彼が本心を今までも、そして今も見せていないことに不安を感じたのであった。

 自分は此処に居ても良いのか、と。
 彼にとって、必要な存在なのか、と。


 ・・・・・・・・・・


 ……別に「奴」に会いたかった訳じゃないが、狙って居なかったと言えば嘘になる。
 天野屋は隣町の美容院のお姉さんと付き合っていたから、熟年女性向けの化粧水などはそこから横流ししてもらっているらしいと言うのは、火衣も調査済みだった。
 だから香具弥に会った日の午後、目的を持ってその店の近くをうろうろしていたと言っても過言でないのだが、丁度よいタイミングでその美容院から竹流が煙草を咥えて出てきたのであった。

「――よう」
 立ち尽くしていた火衣に声を掛けたのは、竹流が先だった。
「また何か用か」
 面倒臭そうな竹流の言い方が火衣には癪に触ったが、その態度が彼と香具弥との間に何かあったことを確信させる。
 ――聞くのは少し怖かった。だが聞かずにはいられなかった。
「香具弥と何が、あったんだよ……?」
 恐怖を隠すように低く、ゆっくりと言う。

 竹流は煙草の煙を吐くとまじまじと火衣を見た。そういう仕草が血も繋がって居ないのに香具弥と似ていて、火衣は何だか気にいらない。
 すると竹流は急に吹き出すと声を立てて笑い始めた。そして火衣の頭をぐしゃぐしゃと撫でながらこう言った。
「心配しなくても、おめーさんが考えてるようなコトはしてねえよ」
 自分が心配していることを察した竹流に可笑しそうに大笑いされ、火衣は馬鹿にされた様な気分になり更に機嫌が悪くなる。

「ホントかよっ」
「ホントだよっ」
 口真似され益々腹が立つが、嘘では無い……だろうと彼は思った。だが何も無かった訳でもないだろう。
「香具弥が最近変だって話は前もしたけど……もっと変になった」
 竹流は再び話し始めた火衣と目を合わせた。
「あんたの話をしなくなった。子供の頃からどんなに嫌なことあってカラ元気の日でも、あんたの話だけは一日に一度はしてたあいつがな!」
 ――この男は自分には越えられない、唯一無二の不変の壁だと、少年はずっと前から思っていた。だからこんなにも、彼のことが憎らしい。

「だから、この前から香具弥が落ち込んでる件にあんたが絡んでるかどうかは知らないけど、『今』香具弥がヘコんでるのはあんたの所為だからな!」

「……」

 子供に怒られて――。

 そこで竹流は何も言わずに火衣の両頬を引っ張った。
「はひふんら(何すんだ)よっ!」
「いやあ、火衣坊も『大人』になったねえ」
 含みのある嫌味ったらしい言い方に火衣は目の前の青年(中年?)に真剣に殺意を覚え、竹流の両手を振り払い叫ぶ。
「昔っから大人気ねえ邪魔ばっかりしやがって! 一体香具弥はあんたの何なんだよっ!」
 所有物だというのか、それとも娘なのか、それとも――?
 しかしその質問は核心を突いたとも言えるらしく、竹流の眼鏡の奥の眼差が今まで火衣が見たことないほど、冷たいものに変わった。

「何なのか……なんて、そんな簡単に言えるるか……」

 口の端だけを吊り上げて笑うと、竹流は火衣の肩を軽く、大きな手でとんっと突く。
 それが竹流からの「答え」だと火衣は察し、それ以上追及しても自分のような子供が定義する範囲の「答え」は返ってこないだろうと悟った。卑怯なのは向こうの筈なのに、火衣は何やら聞いてはいけないことを聞いてしまったようなばつの悪い気分になってしまった。

 ――その時の竹流の眼が、香具弥に出会う前のそれであったであろうことに、火衣は後日、この時のことを思い出して気付くのである。

 
 そしてその日の夕方、香具弥が家に帰ると、店のレジにいた竹流と何気なく眼が合ったのだが――、一瞬、背筋がぞくっとするような、だがどこか懐かしいような気もするな視線を受け、少しばかりどきりとした。
 しかしそれは短い時間のことで、すぐに竹流は何事も無かったかのように新聞に目を落としたのだった。


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ネムリヒメ続編、ようやく更新しました。
新作を書いていたため、入院中並に更新が遅れてしまいすみませんでした。
本日の0時半頃更新したのですが、更新後早速お読みくださった方々、誠に誠にありがとうございます!

……が、読者様より更新後、すぐにおかしな点をご指摘いただき、早速修正いたしました。

レス不要とのことですが、ご丁寧にご指摘くださった方、本当にありがとうございました!!そしてすぐに&何度も読んでくださるほど拙作を楽しみにしてくださっていたのに、本当に本当に申し訳ありませんでした。
一緒にお風呂については、作者なりに「目覚めて~」の時と今回とは意味合いが違っているつもりだったので、そのように今回と続編第1弾の本文を修正いたしました。よろしければ今一度、ご確認いただけましたら幸いです。

こんな作品でも楽しみにしてくださる方がいて、2人の軌跡を覚えていてくださったのに、作者自身が詰めが甘くうっかりなことをしていて、大変申し訳なく恥ずかしく思います。時間に追われて焦りがちの更新でいけませんが、これからはもっともっと注意して大切に作品を書いていきたいと思います。
教えてくださった方以外にも、更新後すぐに読まれて「あれ?」と思われた方いらっしゃいましたら、修正後のものをご確認いただけましたら幸いです。

(※なおご指摘いただいたのは、2人でお風呂に入るのは初めてではないのではないか、という点です。補足しますと、確かに一緒にお風呂に入ったことは過去の回にあって、でもはっきりとは書きませんでしたが作者的にそれは行為の後にシャワーで流してもらったくらいで、「最初からお風呂に入る(湯船でまったりする)」という目的では一緒に入ったことがない、というように修正したつもりです。ぼかしてばっかの表現でごめんなさい~~)

ご指摘の折に、温かいメッセージやご感想まで添えていただき、大変感謝しております。その分、申し訳ない気持ちでいっぱいです…。べた甘で先の読める展開にも関わらず楽しみにしていただき、とても嬉しくほっとしてます。励ましにさせていただくと共に、気を引き締め直してまた頑張りたいと思います!

取り急ぎ用件とお詫びをば。他のメッセのお返事等はまた後日いたします。

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お世話になった春、花小説企画様の開催期間が遂に終わってしまいました。連載に追われ、何も参加&協力できなかったなあ…すみません。でも中編を1作書き上げられてよかったです。
なお人様の作品への感想だけは、これからまだまだ書かせていただきたいと思っております。どれも面白いですよ♪

チューリップのお話も読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。何度も言いますが昔から書きたかった3兄弟+1人なので、やっぱもう少し彼らのことを書きたいなあと思うわけでして。
博愛編は企画作品ということで、恋愛以外のテーマを盛り込んだり、期間中に完結しようと短く終わらせてしまったので(これはこれでいいのですが)、未消化のところもまだまだ多くありまして。続編またはRe-mix版(冒頭から別バージョンに書き直す感じ)ではもっと甘甘になりそうな予感。R指定は…やっぱR15くらいはいっちゃうかも??

更にちなみに企画参加作の続編といえば、ことば企画のお話「失われた一枚」もR指定ありな続きを書きたかったり、「赤いおとしもの」のそれもまだあきらめちゃいないですよv
アンケートをそろそろ入れ替えようと思うので、すごい需要なさそうですが次のお礼SSはこのあたりの続編にしようかなあと。
と言いつつも、リクをたくさん(←僻地サイト基準)頂戴しているので、幻影金魚のほのぼのえろえろSSも書こうかなあ…この作品は本編のイメージ壊すのが恐くて最もSS書きにくいのですが;

以下、更新&製作状況です。

R18オフィスもの「Lollipop!」やっと続きがあがりました~。待っていてくださった方、本当にすみません。
次はネムリヒメ書くぞ~。現在せっせと下書き中ですが、オフのほうで妨害がしょっちゅう入ります。小説家でもなんでもないので仕方ありません(涙)今週中のUPを目指します!月姫も近日中にUPします。
最近更に不定期更新でほんとすみません。連載あれもこれもと欲張りすぎですよね。
いえ、趣味のサイト運営ではあるのですが、こんなマイナーなサイトの作品でも待っていてくださる方に稀に出会えると、少しでも早くとは思ってしまうですよ…。でもどうにもできないのですが;

以下、ひとりごつ。

ところでネムリヒメの今章の「らぶらぶ湯煙嫉妬旅情編」(なんかさすぺんすどらまみたいだな)ですが、えろシーンはなしでいこうと思ったのですが、やっぱり入りそうなんですが、よろしいでしょうか…。入るとしたらもう少し先の回ですが。
またやるんかい、この話そればっかやん、ええかげんにしろって感じですね。でも書きたいんですけどね、結局書いちゃうんですけどね、嫉妬ですし温泉ですからね(どへんたい)。どんだけイロモノ作者なんだ…(恥涙)
つうか、普通のかぽーってやっぱ、こんな年寄りくさい旅行しないのでしょうか。僻地サイト基準でごめんなさい、だから僻地サイトなんだよ…。


各種拍手やメッセージにアンケート、いつも誠にありがとうございます。本当に本当に励みになります。
以下はいただいた拍手メッセージへのお返事です↓

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「こういうとこでゆらゆら揺られてる寝顔見るのも、いいもんですよ。見惚れてたので起こしそびれました」
「ばかたれ!」
 次の駅が近付いてきたのか、老人が一人席を立ち、二人の傍を通っていった。早海の言葉が耳に入ったのか不思議そうな顔で二人を振り返っていった。さぞかし恥ずかしい言動に聞こえただろう。祇園は早海の脛を軽く蹴った。
「寝てたら、喉渇いた」
 早海は全く気にせずにそう言うと、バッグからペットボトルを取り出してごくごくと飲み始める。祇園も自分の喉が張り付いていることに気付き、同じくバッグから飲み物を取り出す。ぬるくなった緑茶で喉を湿らすうちに、眠気もすっかり覚めた。短時間でも深く眠ったことですっきりしたようだ。おかげで午後の時間は思い切り楽しめそうだ。

 車で行かなかったのは、「あの日」の自分を思い出してしまいそうで恥ずかしかったのもある。今夜泊まる場所は――三年前の今日、祇園が早海に告白しに行き、そのまま初体験までしてしまったあの旅館なのだから。

 ・・・・・・・・・・

「懐かしいなー」
 早海は旅館の前で眼を細めた。祇園と言えばそれに大人しく同意できない。彼女にしてみれば、「まだ」三年前のことなのだ。隣の青年への恋に狂った自分を思い出すと、恥ずかしくてたまらない。
 宿の人に挨拶することになるのも何やら気恥ずかしいが、早海はここで二年連続、夏休みに住み込みのアルバイトをしている。二年ぶりに訪れてもまだ覚えられていたようで早海が声を掛けられれば、一緒に挨拶せざるを得ない。
 自分のことを可愛いとは思っていないため、早海と並ぶと祇園は俯きたくなるが、社会人として少しは対人スキルも身につけたため、引きつった笑顔でもきちんと頭を下げた。ぺらぺら挨拶するのは差し出がましいだろうと思い、それはしなかった。
「今日は働く気はありませんからねー」
 早海は肩を竦めて笑うと、荷物を担いでフロントを後にした。

「あれでいいの?」
 宿泊部屋に到着して二人きりになった途端、祇園は早海に尋ねた。
「ええ。世話にはなったけど、毎年同じメンバーでバイトしてるわけじゃないから、知り合いばっかでもねえし、挨拶だけできれば。それにさっきは冗談で手伝えって言われたけど、向こうも彼女が一緒なら遠慮するでしょ。折角なのに居心地悪かったらすみません」
「ううん。近いし、意外とお値打ちだし、私ももう一回ゆっくり泊まってみたかったから、いいって言ったんだんだけど……」
「いいとこですよね、ここ。俺も一度客として泊まってみたかったし。でもそれだけじゃなくて、あの時部屋で祇園さんが何考えてたんかなーとか、想像するのも楽しいし、どっかからあの時みたいに出てくるような気がして」
「それは言うな!」
 予想通り三年前のことを掘り起こされ、祇園は早海の腹に軽く拳を入れた。うずくまる早海のことはさておき、荷物も置いたところでさざなみの音に反応し、祇園は窓の前に立つ。近くに海水浴場もある。泳ぐのは苦手で水着姿も見せたくないが、他にすることもないので今日は海に行こうと約束したのだ。
 三年前の今頃は、斯波研究室にまだ居ただろう。自分の泊まった部屋は何処だったか。そこが初体験の場所だが、きっと他の客が泊まっているだろう。早海に会えたのは厨房の裏だったが、のこのこと出向き従業員に迷惑も掛けるつもりもない。祇園は意を決して顔を上げると、海を指差して言った。
「行こう!」
 少女から大人になる時の思い出は思い出として、また新しい思い出を早海と作ろう。あの日までのことを思い出すと少し胸がきゅんとするが、それをきっかけに全てがよい方向に動き出したのだから。そういう意味ではあの日が記念日だと言えそうだった。
 呆気にとられていた早海だったが、「そうっすね」と破顔して頷き、水着を掴んだ。

 ・・・・・・・・・・

 成人しているが、まだまだ青春真っ盛り。海で数時間遊んだ後、二人は宿に戻って温泉に浸かる。
「家族風呂、予約しておきましたから」
 にーっこりと早海に妖しく微笑まれ、祇園はぞくりとしたが逃げられるわけもない。第一、海で泳いだ後なので早く身体を流したい。白い肌は日焼けのため湯が少々染みたが、大丈夫ですか? と早海にそっと撫でられ、いつの間にか泡で全身を洗われているうちに、痛みよりも違う感触の方が勝ってきてしまった。
 そのまま一回目の――お楽しみ、となる。
「や、やだ、こんな、とこ、でっ」
 壁に手をつかされた祇園が苦しそうに後ろを振り向くが、その準備もちゃんと持ってきていた早海に解放されるわけがない。
「声、上げると、聞こえ、ますよ」
「でも、ぅっ!」
 流石に露天風呂ではなく、室内の小さな浴室で。立ったままの窮屈な姿勢だが、いつもと違うシチュエーションと格好で、泡だらけの祇園は裸の早海にしばらくの間腰を揺らされ続けていた。

「ばかたれ……」
 多少のぼせてしまった祇園は浴衣にどうにか着替えた後、早海の膝の上にぐったりと横たわっていた。
「そんな無防備な格好していると、また襲いますよー」
 同じく浴衣を着た早海は、彼女を団扇で扇ぎながら楽しそうに笑っている。
「心配、くらいしろよ!」
「もちろん。してますよ。でも我慢なんざできませんけどね」
 これは祇園に対する欲望の方が勝っていることを柔らかく言うために、ただ敬語を使っているだけだろう。
 何と言う後輩だろうか。祇園は諦めたように、その締まった太腿の上で寝返りを打った。風呂上りなので彼の脚からも同じ匂いがする。父親や知り合いの男性と比べても、早海の体毛の量は少ない気がする。女の子のような容姿だったのも納得がいく。
 そうは言ってもこれだけの色男が自分なんかにここまで執着してくれるのは、嬉しいものだ。三年もこれだけ近い距離で肌を重ね続けているのに、なおも求めてくれるのだから。
 家族風呂を予約、だなんて宿の人々にどう思われているか、と心配になった祇園だが、そもそも二人でひとつの部屋を予約している時点で、愛の営みが行われると思われてもおかしくないだろう。そうは言っても家族風呂は、「一緒に風呂に入ります」と宣言しているようで恥ずかしいものだが。
 それにしても、早海は本当に風呂でのあれが好きだよな――などと祇園が考えているうちにも夕食の時間になり、美味しそうな料理の並ぶ大広間にやって来た。


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2009.04.12 13:49 | 更新報告・制作情報 | トラックバック(-) | コメント(-) |
いきなり連載開始しましたが、企画作品の「博愛チューリップ。」、無事完結を迎えることができました~。
企画公式サイト様はこちらですが(携帯の方は、作品の表紙にリンクがありますので、そちらからアクセスください)、文学やファンタジーなど捻った力作が多く、読み手としてには十分に楽しめます(自分のがお恥ずかしいほどで;)。皆様もぜひ公式サイト様を訪れてみてくださいませ。

サイト自体がR指定であることと、筆力がないことからR指定でないものはいつも以上に微妙になってしまうのですが、今回のものも書きたくて書きました。
前回の日記で弱っていた自分に元気玉拍手をくださった皆様、誠に誠にありがとうございました!おかげをもちまして、最後までがんばることができました。
企画の趣旨(花言葉の意味をテーマにすること)とR指定なしにしたいということ、期間内に完結させる目標を持っていたことから、「博愛」編はああいった終わり方にしましたが、あとがきにもあるように自分としては前から書きたかったキャラやネタで、まだ未公開のエピソードなども色々あるので、この後の2人+兄弟もいつか長編でシリーズ化して書いてみたいなあなどと考えています。嫉妬編?とかね。花や花言葉もまた絡めても楽しいかも。って、続きはR指定ありになるかもですが(やっぱり;)。

とりあえず目下の目標は、通常連載3本の再開+18禁部屋の2本の完結と、「もしかしたら~」の続編連載開始、ですが。書きたい続編がまた増えてしまった;
睡眠不足でふっらふらで力尽きているところですが、ロリポップやネムリヒメ、更新突然お休みしてしまいすみませんでした。これから超特急で下書きしますので、もし待っていてくださる方いらっしゃいましたら、しばらく、もうしばらくお待ちくださいませっ。てか月姫とかサイト改装とか……(がはあっっ)。

カマクラ続編やそのほかの作品にもたくさんの拍手、ありがとございます!(涙)。
それでは、以下は拍手メッセお返事です。お返事遅くなって本当にごめんなさいでした!↓
(アンケートの方は個々にお返事はしていませんが、メッセージありがたく受け取っておりますっ)

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やると決めたら最後まで、つうか書くと決めたらもうどうにも止まらない私ですので、全ての連載をストップして参加させていただいている企画作品の年下もの、毎日UP中です…。
※携帯の方はサイトのTOPページよりとべます&公式サイト様へは表紙ページからとぶのが便利です!

相変わらず何にもならないのに睡眠時間削ってぼろぼろになって、折角楽しみにしていただいているR指定の方の更新お待たせして…何やってんでしょうね;
それでももしも(毎日更新のやつ)読んでくださってる方いらしたら、この日記の拍手ぽちしてオラに元気をわけてやってください…(すげえ弱気な孫●空)。いえ、拍手0でも書いちゃいますが。

ちなみに三兄弟+おねーさんという構図は、10ン年前の初期設定では悪魔と天使だったり、どこぞのクニの神様だったり…ともともとの設定はファンタジーでした。書きたい恋愛部分(博愛のおねーさんと長男坊主が…というの)は当時と変わっていませんが。

ぐじゃぐじゃ言っていますが、アンケートで応援メッセージくださった皆様、ありがとうございました!十分元気いただいております~。

さて今から明日の回の推敲、するかね…ねむい…。ああロリポップの下書きしないと…ネムリヒメは白紙状態です、すみません…てか月姫…拍手いただいているのに…(ぐはあっ)。
その他の作品へも拍手ありがとうございます!折角待っていただいているのに、更新遅くて本当にごめんなさい。

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