碧落の砂時計 2009年07月

碧落の砂時計

オリジナル恋愛小説の作品紹介+更新情報+お話置き場。

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※ネタバレを含みますので、本編を最後まで読まれていない方はご注意ください。


 さて、あれからめでたく就職した清矢郎は、一人暮らしを始めることにした。職場は大学と同じ市内にあるので、実家から通えない距離ではない。普通は仕事を始めてからの方が家事の時間が取れないため、家族の助けが欲しくなりそうなものだが、彼も将来を考えて一度は親元を離れることにしたようだ。そうは言っても今までも共働きの両親に代わって三人分の家事をこなしてきた清矢郎、初めての一人暮らしと言っても戸惑うことはほとんどなかった。
 三部屋もあるようなアパートでぽつんと食事をするわけだが、これも両親が不在の折に食事をしていたことが多かったので気にならない……が、新人社員が一人暮らしをするには広すぎないか、現に物がほとんど置いていない部屋があるのに、という疑問は野暮である。

 平日の夕方、インターホンを押す音に、いつもより早く帰宅できた清矢郎の耳が敏感に反応する。
「おじゃましまーす」
 彼がドアを開けると、そこには幼い頃から見知っている従妹の姿。いつもは一人で居る部屋に、綺麗な声が届いた。
 そう。この彼女が清矢郎の許嫁――と言っていいのか、親戚でもある互いの両親に結婚を前提に付き合いたいと宣言した相手・あさぎ。彼女は時々清矢郎のアパートを訪れているのだった。

 清矢郎が広いアパートを借りたと知った時、周囲は不思議そうな顔をした。当のあさぎも分かっていない。けれども清矢郎の母親だけは意味ありげに、「そうよねえ、部屋数が必要だものねえ」と笑っていたので、どうやら息子の魂胆に勘付いていたらしい。
 清矢郎はいつもの無表情のまま、あさぎが遊びに来たり、あわよくば泊まってくれるだけでなく、近い将来一緒に暮らすことになれば寝室と居間を分けて……いや子供が生まれれば……などと結婚生活まで及ぶ果てしない妄想を一人繰り広げていたわけだが、あさぎはそれを知ることなく「へー。広くていいねえ。私も一人暮らししたいなあ」などと言って可愛く笑っている。

 だが清矢郎にとって一人暮らしの楽しみはそれだけではない。あさぎはこの家に来るといつも、「せいちゃん、働いていて大変なんだからっ」と張り切って家事をしてくれるのだ。
 来た日には手料理を振る舞ったり、おかずの作り置きをしたりなどしてくれる。彼女もまた清矢郎の味の好みを事前に知りたい、結婚してから自分の料理にがっかりされたくないと言った目的があるわけだが、この状況に浮かれている清矢郎は全く不快に感じていない。寧ろあさぎと同様、結婚前の共同生活の練習として必要だと考えているほどだ。
 休日だけでなく今日のように仕事が早く終わった日にあさぎが来てくれ、台所に立っている姿を見ればもう、無表情の下で清矢郎も子供のようにわくわくと胸を躍らせる。まるで新婚みたいだな、と呑気なことを考えている。この青竹にもそういう単純な一面はあるのだった。
 きゃあと悲鳴を上げながらも、あさぎは必死に料理をしている。あさぎも実家住まいであり、看護師である清矢郎の母親よりも彼女の母親の方が家に居ただろうから、もしかしたら清矢郎の方が多く台所に立った経験があるかもしれない。年齢の差もある。
 それでも、あさぎの料理の味が清矢郎は好きだった。大学時代、一緒に遊びに行った時にも彼女は弁当を作ってきてくれたが、それも美味かった。料理の本の盛り付けと比べれば、そこまでには至らないもののあさぎが気にするほど汚い、美味しくないとは思わない。
 元々好き嫌いがなくとも、それ以上に「自分のために」という幸福のスパイスで、益々恋人の手料理が美味しく感じるというのは清矢郎も例に漏れないようだった。

 あさぎの真新しいエプロン姿を眺めていると後ろから抱き締めたくなってくるが、怪我をさせてはいけないので我慢する――が、清矢郎も通り過ぎざまに、わざと「大丈夫か?」などと顔を寄せて声を掛けてしまう。すると、
「大丈夫だからっ。恥ずかしいから、あっち行ってー!」
 そう怒ってあさぎが顔を赤らめるので、隣の部屋に行かなければならないのは残念だが、初々しい彼女が見たくてまたからかってしまう清矢郎であった(当然、あさぎからすれば読めない無表情で)。

 さて「ごちそうさま」の後、ゆっくりできる夜は二度目の「いただきます」の時間が始まる。朝まで一緒に居られる日に清矢郎が先に出勤すれば(合鍵は渡しているので)、それこそ完全な新婚さんごっこである。実際、結婚前の予行練習だと二人共こっそり思っているが。
 更に「予行練習」は家事だけでない。風呂も一緒に入れば、好きな部屋で好きなように性行為ができるのもまた愉しいものだ。どれだけ肌を重ねても今の状況ではあさぎがすぐに帰ってしまい、清矢郎の中に一層寂しさが残るので、本当に結婚した後もその分の安堵感が、子供でも生まれればまた別の幸せが加味され、飽きるということは決してないだろう。
 ただし仮夫婦生活を営むにあたって、声だけはラブホテルのようにはいかない。高級マンションではないので、一応隣人に気を遣っている。だが他の部屋からの物音があまり聞こえないので、ある程度は大丈夫なのかもしれない。それにあさぎはよく声を出してくれるので、甘いさえずりが聞こえなくなるのも清矢郎にとっては残念なことだ。優しいあさぎは周辺住人のことを気にしてくれているが、困る彼女も可愛くてわざと声が出るような激しい攻めになってしまうこともある。……それは時々反省しているが。

 だが行為の最中は、興奮でそこまで考えられないもの。正常位で交わった後にあさぎを畳の上に四つん這いにさせて後ろから犯せば、彼女の背中にイグサで赤く擦れた痕が見られた。まるで金魚のような。痛々しくて可愛そうだが、妙に嗜虐心がそそられる。
「ああんっ! せいちゃん――」
 交わったままべろりと背中を舐め上げれば、きゅんと狭い膣内が締まるのがたまらない。興奮するのはあさぎも同じだろうか。今夜も最奥まで突けば、気持ちよさそうに高らかに叫ぶのであった。


 ……幻にたゆたうための水槽は割れたが、現実世界に生きる二人の住処が此処にはあった。幻影の金魚が消えた後に残ったのは、そんなちっぽけことがただ永続することを望む、二人で生きる日々だった。
 
 
   ~END~
 
>>リクエストにより、その後のほのぼの日常編、いってみましたー。番外編なので。本編とうってかわって明るい感じも書いてみたくなるものです。それにしても清矢郎の妄想っぷりが…(苦笑&汗)彼のこと好きになってくださった方々にも引かれそうなほど;

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2009.07.31 01:45 | 更新報告・制作情報 | トラックバック(-) | コメント(-) |
「月姫異聞」再UP連載、無事完結いたしました!はじめましての方も以前のものを読んでくださっていた方も、ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。
一応、ラストはほんとーに若干ですが以前のものに加筆をしました…はい(汗)

さてお引越しですが、無事にたどりついたものの密かに海の向こうへと来ているので、ちょいとヘビィな環境におります。今年はなんだか環境の変化が激しすぎる年です。
身も心もぼろぼろのくせに、ひとまず更新をストップさせないことを最優先にしているため、メールのお返事や連載ものの続きがとどこおってしまい、拙作にもかかわらず待っていてくださる皆様には申し訳ないです…。
書き溜めてあるものをひとまずUPし、その間に書き下ろしの連載ものをがんばって書きますので、しばしお待ちくださいませ。

飛び立つ前にオフでご一緒くださったT様には心より感謝申し上げます!

以下は7/25にいただいた拍手メッセージへのお返事です。お返事遅くなって申し訳ありません↓

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「……それにしても――、」
 そこで再び笑顔を消すと、恒峨はため息混じりに呟いた。

「「殴られ損、だったな」」

 竹流はそう言うと同情するように、溜め息をついた。もっともあのプライドの高い月の使者のことだ、そんな風に彼に思われていると知ったらもっと傷つくだろうが。
「何が?」
「なんでもねえよ。何だかんだ言って、悪人じゃなかったな、アイツは」
「恒峨さんのこと……?」
 聞き返した香具弥はその言葉に同意して、こっくりと頷いた。

 ――仕事第一みたいな人なのに、最後は私の気持ちを優先してくれた。何だかんだ言っても、私の故郷の人で優しかった。そして私の「本心」に気付かせてくれた――。
 香具弥がそう思い、感慨に耽っていると、
「何? 月に戻ればよかったとか、思ってんの?」
意地の悪い笑みを浮かべて、竹流がそんなことを口にする。
「思ってないよ!」
「ホントは奴が五人目の求婚者だったら――とかさ」
「今更何言ってんの!? タケちゃんの、ばかっ!」
 気が付けば、香具弥は先程から竹流の膝の上に座ったままなのだが、それよりもこれだけの覚悟を決めさせたくせに尚もからかう彼への怒りが勝り、その目の前の胸をぼかすかと叩いた。

 ――でも、五人目の求婚者って……、結局誰だったのかな?
 もしもこの先まだ、その人物が現れることがあるなら――、いやいっそ……「彼」であったらいいのに……。
 そう思った香具弥は、竹流のTシャツをぎゅっと握り締めた。

「タケちゃんは……、私がいて、迷惑……?」
 そのまま汗をかいている青年の胸に頬を寄せ、ぽつりと尋ねる。今まで勇気がなくて問い掛けられなかった、その質問。彼が本気で答えてくれるかも分からず、恐くて言えなかったその言葉に、
「――いや、全然」
同じくその気持ちを言葉にしてよいのか分からなかった竹流も、ゆっくりと素直に答えた。本心を言わないことで彼女を失うなんてことは、もう御免であったから。

 その言葉によかった、と香具弥も心から安心して微笑む。
「ていうか、タケちゃん、ちょっと性格変わったね」
「あ? そーしろっつったのは、おめえだろーが」
「そうだけどさ!」
 香具弥ががばっと顔を上げると、今までとは少し違う表情に見えるが、おそらく心から笑っているのであろう、竹流の笑顔にぶつかり――思わず心臓が高鳴って、言葉を失った。
「嫌なら、やめるけど」
「い、嫌じゃない!」
 慌ててそう言う香具弥を竹流はさも面白そうに笑い飛ばすと、優しくその頭を撫でた。

 大きな手で、頭を撫でられて――。
 そんな風に見詰められて――。

 ……あれ? 何だろう。今までと……?

 そんな事を互いに感じながら、竹流の手が香具弥の柔らかい頬に触れると、香具弥は身をびくんと震わせた。
 その大きな手が、ためらいながらも少女の頬をそのままそっと撫で始める。いつか見たあの鋭い眼で、己の眼を見竦められ、香具弥は軽い恐怖を感じると共に身動きが取れなくなる。

 ――怖い。でも、何か――。

 自分でも知らない身体の奥が本能的に熱くなり、それがいけないことのような気がするのに、何か、期待してしまう。
 人間として生きていく月の少女が、ヒトとしての「何か」新しいものに目覚めようとする。その儀式のように、顎が傾けられた。――その時、

「香具弥!!」
「「「天野!」先輩!!」」
四つの声が竹薮に響き、その正体を香具弥が知る前に、二人は慌てて身体を離した。


「「心配したんですよ~! 先輩~!!」」
 龍と燕の双子が、香具弥に向かって泣きながら抱きついてくる。香具弥は二人に「ごめんね、ありがとう」と言いながらも、自分の身体が火照り始めていたことに変な罪悪感を覚えるが、おいおいと泣く二人をなだめているうちに、徐々に先ほどの言い知れない感覚も薄れていく。
「オッサン、てめえ! こんなトコで何して――ひゃ(や)めろっ」
 その香具弥の横では火衣が竹流に食ってかかるが、その頬を竹流がいつも以上に眼が笑っていない氷の笑顔でつねり、御行は私設捜索隊の打ち切りを携帯電話で告げるのであった……。


 そして、不思議な日々が終わり――。


 ・・・・・・・・・・


「いってきまーす」
 おう、今日も元気に学業に励め、といかがわしい記事が満載のスポーツ新聞を読む竹流に送り出された香具弥。金色だった髪も瞳も元の黒に戻り、彼女の中から月姫が現れることは、もうなかった。
 何故なら、「二人」の願いも夢も同じだったのだから。

 月の姫と言われたことも、秋となった今では嘘のようだが、今朝もまた火衣が現れ龍と燕が現れ、御行もやってきた。
 魔法が解けても、夢から醒めても、ただのちっぽけな「香具弥」であっても、変わらない温かな人々。


 ――そう。「私」は、大切な人達と共に、ここで生きていく――。


    ~END~


>>最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました!
少女漫画に触発されて書いたドタバタ年の差ほのぼのらぶファンタジー、初稿は今から6年前でした。ちなみにこの内容は当時の読者様から「かぐや姫」を元にしたお話を、とのリクを頂戴したため生まれました。
今ではこうしたノリのものが以前よりも書けなくなってしまったなあと思ったので、今回一度下げたものを加筆修正して再UPということにいたしました。いつかまたこういう感じの気楽にドタバタしたノリのものや、もーっとらぶらぶ度高めの(男性年上の)年の差ラブなんかも書いてみたいです。

…というかこのあとの盛り上がった竹流と香具弥はどうなるのか…(笑)皆様のご想像におまかせしますv
それでは、読んでくださった皆様、途中拍手や感想等で応援してくださった皆様に心より感謝申し上げます!ありがとうございました。



>>目次へ(ランキングへの投票はこちらから(PCのみ)。面白かったよ、とのことでしたらこちらか拍手をぽちりとお願いします…)

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 ・・・・・・・・・・


 ……どうして、わたし、ここにいるんだろう……。

 今から十二年前のこの場所で。一人の幼い少女は、緑の竹薮を見上げた。竹の囁きは綺麗で優しく少女にとって恐怖はなかったものの、どこか切なかった。どうしてなのか、分からなかったが――。
 すると不意にがさりと音がして、少女は顔を上げた。そこには冷たい眼をした一人の若い男が立っていた。
 人も、自分すらも、必要ないと言っているような感情の乏しい眼。
 しかし何かの欠片が足りなくて、本当はそれをずっと探していたような、それ。

 ――きっと、わたしとおんなじね。

 二人は正反対の表情をしていたが、同じ眼をしていた。少女は青年に向かって優しく微笑む。

 ――絶対にうらぎることのない、大切で唯一のだれかと、いっしょに生きていきたいよね。

 冷たい眼の青年は、このような幼い少女が薄暗い場所にいたことに驚いたようだったが、微笑んだ彼女が何故か自分と同じ眼をしていたからか――ぎこちなく相好を崩した。
「なんだ、お前も独りぼっちなのか」
 少女は頷いた。
「一緒に、来るか?」
 少女は更に嬉しそうに、大きく頷いた。

 一族から見捨てられた少女と、家族を失って一人で生きていた青年は、この日から一緒に生きていく。


 ――ずっと一人きりだった。苛立てば仲間と騒いで暴れるか、女と寝るかして気を紛らわせていた。「寂しい」などと、思ったことはなかったが、満ち足りているとも思わなかった。
 そんな自分と同じ様に、何処か何か足りなくて、にこにこ笑い続けている少女。

 出会った瞬間に、全てを失って以来、初めて無償で自分を心から信じて必要としてくれる人間に出会ったと思ったのだ。それは青年だけでなく、少女も同じであった。

 ――ねえ、一緒に生きていこう?
 ――ひとりぼっちは、寂しいよ。

 だから自分の全て……命すらも懸けて、愛おしんで。慈しんで、育んで。


 ――私の夢は、この地球で生きること。それを叶えてくれる人は、月にはいなかった。ただ「この人」だけが、竹薮に居た私の存在にもう一度気付いてくれた。
 そして今の姿の「私」……天野 香具弥の夢は、骨董商になって天野屋で骨董品を売り、「彼」の商売を助けること。
 どちらもこの今の私を抱き締め、命すら懸けてくれた人と一緒に生きていきたいと願う夢。

 それでも、いいですか?

 貴方も、一緒に居たいと、思ってくれますか――?


 ・・・・・・・・・・


 竹流ははっと目を覚ました。そして自分が地面に寝ているという事実に直ぐ気が付いた。
「香具弥!? 大丈夫か!?」
 腕の中にしっかりと抱いていた少女を揺さぶると、彼女も気が付き、まるで夢から醒めたように目を開ける。
「え? 私……? って、タケちゃんこそ大丈夫!」
 香具弥もがばっと起き上がり、二人それぞれに自分の身体の傷を確認するが、
「俺は……」
 ――痛く、ない……。
「無傷だ」
「嘘! あの高さから落ちたのに!?」
「ああ……」
 竹流も呆然として頷くが、既に空に向かって昇り始めていた月行きの列車から飛び下りたにしては何の衝撃もなく、寧ろあれが現実の出来事だったとは思えなかった。それにまた、たな違和感がある。

 その違和感の理由に気付いた竹流は、勢いよく夜空を見上げた。竹藪の隙間から見える、今宵の月は――、
「見ろよ……」
「え?」
「今日は、十五夜なんかじゃねえ。本当の中秋の名月は、本当はまだ先のはずだ」
「えっ!?」
 香具弥も空を見上げるが、そこには円にはまだ満たない形の月が昇っていた。実は香具弥のことを気にしていた竹流は以前から暦を確認していたのだった。
「じゃあ、あの汽車は……?」
「本物、だったのか?」
「え?」
「『アイツ』の、まやかしだったんじゃないか。今日の事は、汽車も何もかも、全て」
「どうして?」
「……さあ?」
 ――本当は分かっている。竹流は溜め息をついた。


「すみません。月までお願いします」
「あいよ。兄さん、景気いいねえ~」
「残りの出張費、全部使うんで」
 月光タクシーに乗った恒峨は、疲れたというように深く息を吐くと、車のシートにもたれた。
「おや兄さん、怪我してやせんか? 喧嘩ですかい? いやまったく、お綺麗な顔がもったいない……」
「そうですね……」
 窓から見える地上を見下ろしながら、恒峨はもう一度深い溜め息をついた。
 ――もう今の月王にしてみても、今から何代も前の姫になる月姫を呼び戻すことは、必須の命令ではなかった。未来の月宮を任せるための候補は、王族には他に何人かいるからだ。
 月姫を呼び戻そうと思ったのは、半分は恒峨の独断――曽祖父・瀞峨の話を恒峨自身が聞き、彼の遺志を継がねば、と何かに導かれるように思い立ったからであった。

 外見だけでなく性格も曽祖父によく似た彼が、あの少女に同じ様に惹かれたのは確かだ。
 しかし「恒峨」が惹かれたのは、「月姫」にではない。あの貧乏臭い店で一生懸命働く黒髪の少女に、だったのだ。
 その彼女が「そこ」でないと、彼女らしく生きられないと言うのなら、その望みを叶えてやるしかないではないか。瀞峨と同じ気持ちであったとしても、自分は彼とは違う人物なのだから、同じ道を辿るつもりはない、と恒峨もまた最後に決断したのであった。

 ――だが、古と同じ少女に失恋するとはな……。

 恒峨はそう考えて、ふっと苦笑した。
 本当に五人目の求婚者は、「奴」だったのだろうか。いやそうだと認めたくもないのを差し引いても、そんな軽々しいものであるはずがない。

 誰もが欲しがるあの少女が選んだ、唯一の人物なのだから。


>>ACT35(後編)へ

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本日引越しですが、結局できたのは、「ワスレヤハスル。」の続きだけ…無念です。できるだけ早く更新復帰したいものですが…!
入院中はPCはネットにはつなげなかったけど、今思えば携帯はつながっていたし、時間はあったし、今よりも全然更新できていましたよね。あの頃がなつかしいです…。
次は携帯があまり使えなくなる場所なので空き時間も有効活用できなくなり、どうなるのか不安ですが、創作活動はずっと続けたいので自分のために、そして一人でも続きを読んでくださる方がいる限りなんとかがんばります!
メッセージやご感想のお礼が少し遅くなることもあるかもしれませんが、何卒ご了承くださいませ。

次回以降更新予定(下書き完了、推敲中)。
☆「月姫異聞」最終話。長くなったので前後編に分けました。
☆「もしかしたらの神様。」続編第1話UP

そのあとがんばって下書き。
☆「銀糸」&「ネムリヒメ。」
この2つはまだ白紙状態です。月1回の連載もままならなくて申し訳ないです…。はあ。

アンケートで温かいメッセージくださる皆様も、本当にありがとうございましたー!

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細々と更新中です…。「ワスレヤハスル。」6話までUPしました。いよいよ慌しくなってきたので、こちらも1週間に1回、できれば2回更新したいと思っております。
「月姫異聞」の最終回だけは今週中になんとかせねば…!
「Lollipop!」は掲載申請に滑り込ませましたので、今週中にUPされると思います。

いつも拍手等くださる皆様、アンケートにメッセージを添えてくださる皆様にも深く感謝申し上げます。
暑いですが皆様大丈夫でしょうか?自分は相変わらず夜は涼しいド田舎に住んでいるので、比較的暑さでばてることはないのがありがたいのですが、この居候生活もあと5日…。
25日頃引越しなので(今年2回目…次の引越しは3年後です。夜逃げではありません)、また更新停止しそうですが、ワスレ~とか書き溜めたものを推敲しつつUPしながら、ネットは繋がる環境にあるので、今のようなペースで更新できるかなあ、いや、したいなあと思います!

以下はいただいた拍手メッセージへのお返事です↓

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現在「Lollipop!」の続き、下書き中です~。アンケートでご声援くださった方、ありがとうございます!そのほかの作品へのコールもありがたく頂戴しております。

さて本日は書きたいと言ってからすごく時間がかかりましたが、お気に入りネット小説のブログ記事を更新しましたので、興味持っていただけたらこちらからご確認くださいませ。今回携帯からも読める作品です。
(以前オススメ記事を読みたい、と仰ってくださった方、今頃になってしまい本当に申し訳なく思います…)

「月姫異聞」もラスト1話前、UPしました。ランキングサイトから読みに来てくださった方々、ご投票くださった方々、誠にありがとうございます!
>本日月姫に拍手コメントくださったG様へ
応援、誠にありがとうございます!竹親父、ぬるく活躍中?です。あと1話ですので、よろしければ最後まで見届けてやってくださいませ…!

次回最終回です。以前UPしていたものより、密かにらぶらぶ度をあげようかなあとちょっぴり加筆予定ですv

1週間後が引越しなので、8月上旬頃まで連載を書くのが遅滞してしまいそうですが、 「ワスレヤハスル。」は既にラストまでできているので、サイト自体は何かしら動いているかと思います。
そしてその期間にUPできるよう――はい、リクの一番多かった「もしかしたらの神様。」続編、ようやく連載開始に向けて、下書きをちびちびと始めました。(待っていてくださった方、ありがとうございます!)

というか!アンケートでもネムリヒメを超えるくらいすごくたくさん(当辺境サイト比)のリクを頂戴したのに、こんな内容でいいのかしら;
今のところ本編を読まれた方全員に読んでいただけるようR15になっていますが、しょっぱなからエロ全開です(苦笑)本編はエロシーン以外にも主人公が自分を振り返るような場面もありましたが、ネムリヒメ。以上に、単なるらぶらぶえろえろな続編になってしまいそうです。
がっかりされる方もいらっしゃるかもしれませんが、今の私の限界&こんなんでも楽しんで書けるものですので、どうかお許しくださいませ…。

早くしろ!と仰ってくださる方へ。推敲途中の冒頭をちょっぴり、公開…。サービスにもならないサービスでごめんなさい↓

 よく恋のたとえに甘い炭酸飲料の泡が弾けるような言い方をされているが、今の祇園の心境はまさにそれだった。
 大学に入学した時から一人暮らしをしているアパートの一室で、何度目ともないため息をつくと、肌触りの良いお気に入りのクッションを、抱く。胸の中でしゅわしゅわと沸き起こる想いから生まれるその吐息には、最早甘い香りや淡い色でもついていそうなほどである。

 いわゆる「乙女モード」というやつだ。


…まあこんな感じで、ラストの旅館での初えちの次の日という設定から、お話が始まります、はい。
他の連載がありますのでおそらく月1連載になってしまいますが、2話目以降、早海視点も入れたり、今お礼SSにしているものもこっちの続編に組み込めたらなあと思います。
(これ以降はまだ全然推敲していないので、公開できなくてごめんなさい!)

「博愛チューリップ。」続編も構想中です。待ってますコールいつもくださった方、秋くらいには始められるようにがんばりますので~(ここ見てらっしゃるかな;)。
本編のイメージを壊してしまうかもしれませんが、読者様からヒントもいただき、新連載では主人公2人のキャラがもっと立つよう、続編というよりはやっぱり最初から書き直しにしようかなあと思ったりもしています。
でも折角本編や続編を読んでいただいたので、そちらのエピソードも生きるようにしたいのですが…。
ぶっちゃけ具体的にどうするかといいますと、

1、脇キャラを増やす(ちょっとラノベ、漫画的、ギャグ要因なキャラになってしまうかもしれないけど)

2、小学生時代の日向×高校生(or中学生)時代の千景など、子供時代のエピソードを増やし、「子供だった彼が成長して年上のおねーさんと立場が逆転して惚れ合っちゃう」みたいな、コテコテ恋愛要素を強化したい!(他人同士なのでネムリヒメとはまた違った感じで)+前作以降のらぶ甘な関係も書きたい!(もちろんらぶしんありで)

3、恋愛以外のストーリーも膨らませたい。久々の20万字超えの長編…になるといいなあ(相変わらず公民館ネタ&兄弟ネタですが…)

という具合です。ラノベ的長編恋愛ものを最近書いていないので、アンケ結果も踏まえて書こうかなという次第です。
もちろんシリアスなプロットなら、まだまだいっぱいあるのでそういう内容のもまた別に書いていこうと思います。

あと余談ですが、某様に「幻影金魚」のイメージソング的な詩を作っていただけることになりました…!(S様、ほんとすみませんありがとうございます~)
途中までのものを見せていただいたのですが…、すごい!私の書いたブツ以上の表現でドキドキする世界が繰り広げられていて、創作意欲をかきたてられております!長編はさすがにむずかしいのですが、2人のえちシーンがまた書きたくなりました(笑)…いえ、ただの官能目的よりは、男と女の間に横たわる深いものを、もっと掘り下げて情熱的(←ポイントv)にしてみたいなとか。
次回のお礼SSはとりあえずこの2人で!

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リンク先様のお話はとりあえずみんな大好きなのですが(ジャンルごちゃまぜなので、苦手なジャンルがありましたらご注意ください)、こちらは当方が個人的に好きなオンライン小説で、特にサイトをお持ちでない方の作品を、勝手ながらブクマ的意味も込めて挙げさせていただく記事になります。

《注意事項》
※あくまで私の個人的主観での「好み」です。内容や文章等の感じ取り方は人それぞれだと思いますので、何卒ご了承ください。
※紹介作品にアクセスしたりコメントをされる場合は、最低限のネットマナーを守っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

では今回の紹介作品はこちらになります。

「恋の基準値」シリーズ(作者:みゆ様/掲載サイト:小説家になろう)
「恋の基準値」(長編/中学生の女の子の初恋や進路に悩む青春もの/R指定なし)
「恋人の基準値」(短めの中編/上記の続編で高校生編/R指定なしのらぶ甘)
「二人だけの基準値」(短めの中編/上記の更に続編で高校生編/R15のらぶえっちv)

このたびめでたく完結された長編作品を挙げさせていただきましたが、どのお話が一番、というわけでなく、この方の作風がとにかく好きで読ませていただいております。
このほかの作品は短編がほとんどですが、気軽に短時間で読めるものばかりで、読後感も爽やか、全体をとおして優しい雰囲気の素敵な作品ばかりです。
また短編は10代女子だけでなく、20代の女性が主人公なのもあり、それもまたほのぼのとしていたり、時には切ない恋の物語が魅力的ですv「作品一覧ページ」より読んでみてください!

私自身に的確にレビューを書けるだけの表現力がないため、あとは読まれた方の感じ方におまかせしたいと思うのですが、ただ、私が書きたくても書けない部分(きれいごとすぎないけれど、優しくてキラキラしたほのぼの胸きゅんな純愛)を丁寧な心理描写で書かれている方なので、そういう恋愛ものをお求めの方には楽しんでいただけるんじゃないかなあと思います。

上手い紹介文が書けずに申し訳ありませんが、今後の作品も楽しみな作者さんのひとりです!

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 竹流が乗り込んだ月行きの汽車は、広く長い車両の割には誰もいなかった。香具弥の姿も見えない。
 何両通り過ぎたか分からないが、香具弥を探している内に何故か竹流の身体は重くなり、どこか息苦しくなってきた。しかし彼は気の所為だと思い込み、首を横に振る。
「……今更、何しに来たんですか?」
 そこで不意に冷たい声を掛けられ、彼がが顔を上げると、そこには予想通りあの月の使者――恒峨が立っていた。
「そんなこと、訊かなくてもわかんだろ? それこそ、今更だ」
 竹流は噴き出る汗を拭くと、恒峨を睨みつけた。
「大分、苦しそうですね」
 そんな彼に、恒峨は勝ち誇ったように冷笑を投げかける。
「ずぇんずぇんっ!」
 ぜいぜいと肩で息をしていても説得力はないが、竹流も眼光だけは衰えさせない。

 ――もう、一歩も退くわけにはいかないんだ。
 同じことを望んでいたかもしれないのに、誤解したまま別れたくないのもあるが、それ以上にあの少女を――。

「地上の穢れた空気に長いこと触れていた姫に、これから向かう天上の薄く美しい空気に慣れていただこうと、汽車の中の空気を天上の空気に近くしてあるのです。地上の人間には、こたえるでしょう」
 うっすらと笑いを浮かべたまま、勝ち誇ったように恒峨は言う。しかし、
「だから、何だ……」
何を言われようと最早止まることは出来ない。竹流の苛立ちは、最高潮に達していた。
「え?」
 身体が重かろうが何だろうが――、
「てめーだけは、一発殴っとかねえと気が済まねーんだよ!!」

 ――この男だけは、どうも気に入らない。やり方もそうだが、香具弥への執着心がほかならないからだろうか。
  重い体であったにも関わらず、竹流の本心を爆発させた渾身の拳は、細い恒峨の身体を天に舞わせて汽車の床に叩きつけた。

 ――この、声――!?

 自分を呼ぶ不思議な声の方向へと汽車の中を彷徨っていた月姫は、ひと際大きな声がしたその場所へと身体を瞬間移動させた。
 そこで彼女が見たものは、のびている瀞峨の子孫と、荒い息で己を振り向いた――とても鋭い眼をした男だった。
 その眼を「月姫」は見たことがなかった。けれど、とても懐かしく感じた。
 彼女に向けられた鋭利な刃物のような眼光は一瞬揺らぎ、切なげな眼となる。しかし直ぐにまた、不審がるような視線になった。それは月姫自身の髪と眼の色が、金と黒、交互に入れ替わり、「月姫」でも「香具弥」でもない状態になっているからであるのだが、少女はよく分かっていない。

「お前がもし、香具弥なら――、」
 月姫がぽかんとして、その懐かしさを覚える冷たい男を見上げていると、
「これで、目ぇ覚ませ!」
急に小さな頭に拳が落ちた。それは勿論、先程恒峨に食らわせたものの、百分の一程度の力であったが。

 しかし、
「……痛いなあ! タケちゃん!!」
彼女が何度も食らわされたことのあるそれの効果は、覿面だったようだ。

「やっぱり、香具弥か」
「やっぱりって――」
「それ」
 竹流は「香具弥」と同じ口調と表情に戻った少女の髪を指差した。香具弥が肩に掛かる自分の髪を見ると……、
「ええっ!? 何これっ」
己の髪が黒から金に変わり、また黒に戻っていくのを繰り返す現象に香具弥は驚いた。
「眼の色もそーだぞ」
「うそだぁー」
 すっかりと混乱している香具弥であったが、

『――あなたなのね、私の夢を守ってくれた人は』

「は?」
更には急に香具弥の口から彼女らしからぬ不可解な言葉が発されたので、竹流は訝し気に彼女を見た。
「え? 私、今――?」
 香具弥も見かけだけでなく、自分の内部にも住むもう一人の人格に気付いたようだった。
 不安定な髪と瞳の色といい、この金色の方が香具弥が香具弥として目覚める前の、「月姫」という奴なのかと悟った竹流は、顎に手を当てて呑気に考え始めた。
「さて、どうするか――」

「どうにも、出来ませんよ……」
 すると怒りを顕にした恒峨の声が聞こえてきた――と思うと、彼も気力でよろよろと立ち上がった。
「天野竹流……、貴方を許すわけには、いきません。それにもう手遅れです。この汽車は、走り出しているのですから……」
「ええっ!?」
 香具弥は驚いて窓際に駆け寄り、窓を開けて外を見た。確かに地上が少しずつ、遠ざかっているように見える。
「この力を以って、貴方を消す――」
 恒峨は静かに右手を挙げると、その掌に少しずつ月光の色をしたオーラを溜め始めた。その光は徐々に大きくなりながらまばゆさと熱を増し、術主の体力に関係なく壮大で破壊的な力を感じさせる。

「そっか、もう遅い、か……」
 しかし恒峨の攻撃対象として狙われているくせに、竹流はのんびりと呟いた。――その時、
『やめなさいっ!!』
「私は、タケちゃんと帰るんだから!!」
月姫か、香具弥か――少女は恒峨に向かって大声で叫ぶ。その何よりも逆らえない眼に身竦められた恒峨は、一瞬、手の中の光を弱めた。

 その少女の言葉を確かに聞いた竹流は、瞬間、何か決意したようにひとつ強く頷くと、汽車の窓際にいた香具弥の元へと駆け寄り、肩を強く掴んで言った。
「本当に、帰るんだな」
 香具弥はその眼をしっかりと見た。竹流は今まで彼女が見たことがないほど怖い顔をしていた。でもこれが本当の彼の顔なのだろう、と確信した。だから、
「うん!」
彼女は真面目な顔でこっくりと頷き、「よし、」と竹流も頷くと、香具弥を抱き上げる。

「何を――!?」
 香具弥もとい月姫が竹流の腕の中に居るので、恒峨は力を揮うことが出来ない。ただ慌てて二人を見ているのみだ。
 竹流は汽車の窓から、下を覗き込んだ。まだ三階に満たないほどの高さだ。今なら間に合う。
「急所さえ打たなければ、死なねえ。付き合う度胸はあるか?」
 最後にもう一度腕の中の香具弥に確認すると、香具弥は頷いて竹流の服をぎゅっと握った。
 こんな危険な状況なのに、竹流が自分を巻き込んでくれたことが、「本当の彼」を見せてくれたことが、少女は嬉しかった。彼が対等に自分を見てくれたようで。彼が自分を必要としてくれたようで。

 竹流は正直、一瞬迷った。
 だけど、今は香具弥を渡すか渡さないかの瀬戸際なのだ。彼女はそれでいいと言った。これが正しいかどうか、いい年をした彼にも分からない。

 ――でも、もう信じるしか、ないじゃないか!

「行くぞ。舌噛むから、絶対に口開けるなよ!」
「待て!!」
 竹流と香具弥が汽車から強引に飛び下りたのと、恒峨が二人に向けて光の球を発したのは、同時だった――。


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「ワスレヤハスル。」またUPしました。次は月姫の続きと、ロリポップの下書きだー!
いつもサイトに来てくださる方、各種ランキング、拍手等ぽちりと押してくださる皆様、アンケートの際に励ましのお言葉をくださる方々、ご感想をくださる皆様、本当に本当にありがとうございます!意欲と元気をいっぱいいただいております。

本日は久々にリンク先様1件追加しました。携帯の方で見られない方はごめんなさいですが、R15のときめく恋愛小説を書かれるサイト、「ゆめもも」様です。私は恋愛といえば惚れたはれたのお気楽な心理描写しか書けなくて恥ずかしいのですが、ヒューマンドラマや辛い現実や切ない心理を、読みやすい文章でエロだけに終わらず書かれているのが魅力的なサイト様です!
てか、自分の恋愛モノが恥ずかしくなるくらい;大根喋ったり付き合う付き合わないでうだうだ言ってる場合じゃないですよね(苦笑)

前から言っていましたがリンク先様はもとより、サイトをお持ちでない方の投稿作品でも好きなものがいっぱいあって、レビュー付きのお気に入り作品のご紹介をこのブログで何件も書くつもりでしたが、納得のいく誤解と失礼のないレビューを書こうとすると自作品の執筆以上に時間をかけたくなるため、執筆を最優先にしている今、いつまでたってもUPできないことが判明。
なのであっさりと作品名(+簡単なご紹介)だけくらいのお気に入り作品のブクマを近々UPしようかなあと…。自分的メモと、楽しい作品を読ませていただいたお礼の目的で。だから作者さんにはもちろん許可をいただきますが。
とりあえずサイトをお持ちでなくサイトへのリンクができない方から始めたいなあと。携帯のお客様も多いためそちらからも読める作品も挙げていきたいです。

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「月姫異聞」はあと2話なので早めにあげちゃって、「もしかしたらの神様。」続編の下書きにうつろうと思っているところです。月姫にランキングから来てくださった方、ぽちりとしてくださった方、毎回拍手くださる方、本当にありがとうございます!
アンケートの方で「もしかしたら~」にコールくださる皆様、本当にありがとうございます(他の作品へも感謝申し上げます!)。続編…ご期待に沿えるものになるかな~;一応15禁の予定でいます。
「ワスレヤハスル。」はこれからもがしがし定期更新していきます。他の連載もがんばらねば~!

メールのお返事は徐々に始めましたがまだ追いついていません~。気長に待ってやってくださいませ!

そんな中、感想をくださった方を中心に他のネット恋愛小説作者さんの作品を最近よく拝読するのですが、なんか、もう、皆さんすごすぎて、勉強になりますが、毎日へこんでます(Mかよ);
どの方も丁寧にドラマを作られていて、セリフやキャラの行動にリアリティがあって、ほんと、すごい!心理描写も前向きで説得力があって…。私好みの作品がこんなにあったんだーとびっくりです。
いっぱい紹介したい作品があるのに、首が回っていない…とりあえず書き出すだけでもしようかなあ。
でもいじけすぎて書きたいことを見失わないようにしなければな、とは思います。


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 竹流の記憶を恒峨に消され、月行きの汽車に乗り込んだ香具弥。一方、
「あれは――!?」
彼女を探し回っていた四人の少年は、月から「ある場所」へと真っ直ぐに伸びている強い光を離れた場所から見付けていた。

「何だあ!?」
 そのまばゆい光が差し込む「ある場所」へとたった今、竹流が到着した。
 ある場所とは――、町の外れにある竹薮だった。

 幼い香具弥と竹流が出会った場所。罪を受けていた月姫が閉じ込められ、そして再生した場所。

 眼の眩むような太い月光の柱の中に、香具弥の姿は見えない。ただ汽車のような大きな黒い影が朧気に見える。――きっと、あの中に香具弥は乗っている! 彼はそう直感した。
「香具弥!!」
 竹流は大声で叫んだが、香具弥の耳には届かないようだった。しまった、なんであの時、一人で家に帰したか――と思ったがもう遅い。


 ――来たか、と恒峨は光の中から、後ろを少し振り返った。
 しかしこの姫の想いに気付けなかった、彼の負けだ。恒峨はそう思いながら月の光を浴びて金色の光を放つ、「香具弥」であった少女の肩をそっと押す。
「今誰か、何か言った……?」
「いいえ、何も……」
 恒峨は優しく微笑んだ。
 曽祖父の瀞峨が愛した姫。一族が全てを懸けて仕える、愛しい月の王族の少女。
 ……五人目の求婚者は、結局「誰」のことだったのか。たとえあの者だったとしても、放棄したのだから。だったら、その座は――。
「もう下界の事は、お忘れください。これからは、天上で暮らすのですから」
 香具弥――「月姫」は、こくりと頷いた。
 そして恒峨は乗り込んだ汽車の一席に少女を座らせ、彼は運転手に発車するように言うため、一人で先頭車両へと向かったのだった。

「でも、誰かが呼んでいるの……『火衣』? 『龍』? 『燕』? ――『御行』?」
 金色の少女はそれでも「誰か」に呼ばれている気がして、何処かで聞いたことがある名前を呟くが、下界の事はついさっきまで「其処」にいたはずなのに、何も思い出せない。
 ――ああでも、遠くでトモダチだった人たちが私を呼んでいる。きっとあれは、私が生んだ子供たちの、その子孫。
 私の大事な子供たち――さようなら。

 でも……、あとひとつ、声がする。
 哀しい声。「私」が聞いたことが、ない声――。

 それは「月姫」が唯一、「月姫」であった時に出会っていないモノだった。それは「香具弥」として再生してからの記憶にある、最も大切なもの。だから月姫には、それが何なのかどうしても分からないのであった。
 しかし何処となく、自分に地上の子どもを生ませてくれた、あの青年の声に似ていると思っていた。

 しかし、彼はもう死んだのだ。もうこの世の何処にもいないのだ。
 あの時、罪を犯したと瀞峨に宣告された。でも、許されるのだと瀞峨の子孫は言う。
 ……でも許される――のに、嬉しくない。
 「彼女」のぼーっとしていた頭が段々、冴えてきた。

 「許される」ということ。そう、それは自分で自分のしたことを、罪と認めることなのだ。
 碧い地球で暮らすこと、それが少女の夢だった。そして命を育んでいくこと――。確かに夢は、刹那的にではあるが叶ったのだ。
 だから月に還らなくてはいけない。想い出だけを胸に……。

 ――違う!!

 がんがんという頭痛を感じながら、少女は金色の髪を激しく揺らして首を振った。

 私の夢は、そんな簡単なものじゃない!
 月には還りたくない! 私の夢は、地上で暮らすこと、地上で命を育むこと。それは、自分自身の命もいつかこの土に埋めて、大地や緑の一部になりたいということ。
 だから竹に寄生させられていても、月に帰るよりよかった。だけど私は許されてしまい、竹から外へ出された。その胎児から赤子へとなり元の年齢に戻るまで、「誰か」に守られて生きていたはずだ。 

 それは、誰? 「私」は今度こそ「私」の夢を叶えるために、その人に出会ったんじゃないの!?

『この子の夢を奪うような奴らには――***は、やらねえ』

 ふと記憶にないはずなのに蘇った、低い声。
 それは今、少女を呼んでいる気がするあの哀しい声と同じ響きをしていた。
「……あなた、なの……?」
 「月姫」は立ち上がった。


 ・・・・・・・・・・


 とにかく崩れた人生を送ってきた竹流だったが、あの日出会った幼い少女のことだけは何があっても守ってやろうと思い、また己のような人生を歩ませたくなかった。
 だから彼女には絶対に自分の本性を見せたくないと、彼は思っていた。何かを壊しては生きていた、元来の本性だけは。
 だが今見せているような姿では物足りないと、香具弥は言った。玉枝の知っているような彼を見せろと。そこまで、全て見せないと、分かり合えないと、少女は要求してきた。
 ――そんな簡単に分かり合えるかよ、人が、と竹流は冷笑を浮かべたものだが、
「……つまり、どんな手を使ってもいいってことだろ?」
香具弥自身からの許しが出たこともあり、昔の悪びれていた頃の人相に戻って、お姫様奪回を謀るのであった……。

 月の光が強すぎて遠くからでははっきりと見えない汽車だったが、その光の柱の中に思い切って入ってみると、黒い車体がはっきりしてきた。
 呼んでも駄目なら、仕方ない――。
 竹流は乗れるかどうか分からないが、まだ動き出していない汽車の空いている扉から中に入った。あっさりと中に入ることが出来、意外に普通だ……と、まるで田舎のローカル線のような汽車の様相にこんな時だが思わず脱力した。

 すると、
「お客さん、切符は?」
とこれまた普通の中年男性の車掌がやってきた。
「ねえよ」
 当たり前だとばかりに、あっさりと竹流が答えると、
「キセル乗車ですか!? それは困ります! 降りていただかないと……」
車掌は焦って竹流の腕を掴んで、彼の乗車を阻んだ――が、一秒後、
「これで、代わりにしとけ!」
そんなのに構ってられる暇はねえと、竹流は車掌の顔面に一発拳を打ち込んだ。

 そして「元・悪」は、一撃でその場に倒れてしまった車掌を全く無視して、香具弥を探すべく再び走り出す――。


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 作者の都合で、第7期お礼よりブログの方に新規御礼SSをUPさせていただく予定ですので、何卒ご了承くださいませ。第6期は個人サイトの方に置いてあります。

《注意事項》
※御礼SSに関するブログ記事の日付がおかしいのは、記事を目に付きにくくするための措置です。ご理解のほどお願いします。
※「お礼」の意味がなくなってしまいますので、このページのURLを第三者へ教えたり、別のサイトからリンクすることを固く禁止いたします。
※このページや下記SSは、管理人判断により予告なく削除・移動される可能性がありますので、予めご承知ください。
※PC版も携帯版も内容は全く同じです。
※これ以前のお礼SSは続編連載に組み込んだり等の理由で、削除してあります。


◆第6期お礼「カマクラ」後日談
→全ての続編の更に後のお話。イホク×こゆると、玄次×カマクラの2本になります。(※詳細な行為シーンはありませんが、R15で)
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◆第7期お礼「もしかしたらの神様。」シリーズ後日談 
→社会人一年生の祇園と大学四年生の早海の、夏休みの旅行の話。行き先は二人にとっての記念の場所であるあの旅館だった。(※R15)
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◆第8期お礼「もしかしたらの神様。」シリーズ番外編 
→大学生編の一コマ。晴れて両想いになったけれども、早海の心にはまだ闇が――?(※らぶらぶですが、ちょっぴり暗め)
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◆第8期お礼「幻影金魚」シリーズ後日談 
→「幻影の金魚は緋色の~」完結後の、社会人となった清矢郎と大学生のあさぎの、甘甘らぶらぶな日々。清矢郎視点でほのぼのしてます。(※R15)
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◆第8期お礼「ネムリヒメ。」シリーズ番外編 
→源二大学3年生、ゲレンデが溶けるほど恋してればいいよ編。(※R指定なし/新作ではなく、以前から掲載しているスノボのお話です)
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2009.07.06 00:17 | 更新報告・制作情報 | トラックバック(-) | コメント(-) |
さて現在、自分が書きたいものとか挑戦したいものとか、書かせていただいている場所とか、ありがたくも自分なんざの作品を気に入っていただいた方へのお礼になるかわからないけれどリクエストにお応えしたいとか、という観点から物語を書いているため、連載をいっぱいしているくせに更新が遅く(これはオフの事情もあって)、自作なんざでも楽しみにしてくださる方には申し訳なく思います…。

現在アンケートで、「もしかしたらの神様。」への続編リクを一番多く頂戴し、アンケートという形でとらせていただいているので、8月にはじりじりとでも連載開始しようと考えています。前にも書きましたが需要が少なくても、「月姫異聞」だけはあと3話だし先に完結させたいので、その後になります。少しでも早く…とコールくださった方、申し訳ありませんが、もう少しだけお待ちくださいませ~。このようなヘタレへ応援のお言葉、誠に感謝申し上げます。
ただしこちらの続編もただのらぶらぶえろえろ話ですので、本編のようにテーマ性は持たせられないことをお許しください…。

「博愛チューリップ。」も意外と多くのリクを頂戴し、ありがとうございます!(特に毎回熱いメッセージをくださる方、恐縮です~)
ですがこちらは本編よりももっとラノベ調にしたり色々な事件も起こしたいので、プロットに時間をかけてしっかり書きたいと思っております。
早く~!と仰っていただけること、大変ありがたく思いますが、そういった理由で連載開始が秋くらいになってしまいそうですが、もう少しお待ちくださいませ。

「幻影金魚」は前に申し上げました理由で、安易に続編に手を出したくなくてごめんなさい!とりあえず、次回アンケートお礼は必ずこの2人のらぶらぶ甘甘SSをご用意しますので…。

しかし続編だけでなく、勝手ながら新作を書いて色々挑戦したりしたいという気持ちもあります。
というわけで前にも言いましたが、5~6月にかけて書きあげた作品「ワスレヤハスル。」が、夏のお話であることと個人的に気に入っていること、下記の理由でまた更新停止状態になることから、本日より新連載として推敲しながら週1~3回UPしようと思います。
もちろん上記の続編や、これからもぼちぼちとですが、「Lollipop!」&「銀糸」の書き下ろし連載、「ネムリヒメ。」続編、「カマクラ」&「刺身~」続編もきちんと書いていきますが!(現在は「銀糸」の下書き中です。)

というわけで、本日から新連載「ワスレヤハスル。」をスタートしました。
実は7月末にまーた引越しをしなくてはいけなくて、まーた少しお話が書けない状態になりそうなのですが(今年は特に色々と異動等ある年でして;これから2年は何もない予定です)、書き上がっているものを推敲しながらUPすることで、サイト自体は定期更新を続けたいと思います。
個人サイトに昔「忘れやはする」という作品をUPしていましたが、こちらをとあるケータイ小説大賞に出すため書き直しました。なので結末は同じですが、途中のシーンはかなり変えてあります(告白に使う小道具を含め、全く別のストーリーになっています)。
色々と生々しくしてしまいましたので、前のほのぼのとした静かな空気が好きだった方、もしいらしたらごめんなさい!

実はこちらの話は、「もしかしたらの神様。」よりもずっと前に書き、元ネタとしたものなのです。なので五年後の中学時代の知り合いが突然再会、という展開が同じで申し訳ありません。あと過去の性的トラウマという点では「幻影金魚」ともかぶってます。
気に入ったネタをよりよいものにしたく、何度も同じネタを使ってしまっていますがどうかご容赦くださいませ…。
(余談ですが、某釣りの18禁作品も「もしかしたら~」の元ネタなんです。だから女性が1つ年上で男性がああいうキャラだったりするのですよ;)

内容ですが、ラブコメ要素一切なしの完全シリアス現代恋愛ものとなります。こういうタイプのはアンケ結果等から当サイトでは需要がなさそうなので、これまたすみませんなのですが…。
ちなみに幼馴染もの、R指定なし(PG12以下の性描写(行為シーン未満)はありますが)ですので、以前リクで読みたかった、と仰ってくださった方のお目に留まりましたら幸いです!
また浮気ネタは嫌いだと言いながら、背徳感漂うものは好きですのでv、思い切り彼女もちの男性が主人公で、とにかくじれじれで進んでいきます(趣味)。その設定に嫌悪感がなければどういう結末を迎えるか、読み進めていただけましたらありがたく思います。

というわけで、こちらですので興味ありましたら読んでやってくださいませ。
9月には終われたらなあと思います。6~7万字の中編です。

メールのお返事は…ほんとごめんなさい、しばしお待ちくださいませ~!

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 旧暦八月の十五日。今では九月にあたる中秋の名月の日に、香具弥を乗せる月行きの汽車が出ると恒峨は言った。 
 今はまだ夏休み中でその満月にはまだ早いはずなのに、空には何故か大きな丸い月――。
 誤解しあったままの香具弥を、月には還したくない。不思議な満月と香具弥がいなくなったという事実に嫌な予感がした竹流は、恒峨が寝泊りしていたという公園を目指した。
 しかしそこには人影はなく、彼は無言で土管を蹴った。

 すると――、
「「やはり、何か、あったんですね…」」
竹流の後ろから呆然とした龍と燕が口を揃えて声を掛け、その隣には火衣そして御行が息を切らして立っていた。

 なんでお前らがここに……?という言葉すら失ったように、竹流は無言で四人の少年を振り向いた。
「香具弥が、どっか行っちまうって言ってたんだよ!」
 その問いを聞く前に、火衣がそう叫ぶと竹流を睨みつける。
「様子がおかしいとは思っていたが、今夜急に飛び出すとはな……」
 御行も言葉を続けた。それらの言葉から、四人が言いたいことは、ただひとつ。
「オメーが、しっかりあいつを安心させてやらなかったからだぞ!」
 じゃなければ、こんなことには――。火衣が苛立ちのまま竹流に向かってそう叫び、それを皮切りに五人は再び香具弥を探すべく公園を走り出した。

 ――コイツには叶わない、と本当は四人共分かっていた。
 最初に、香具弥が自分たちの告白から逃げて、竹流の元へと走っていったのを見た時から。
 彼女にとっては、「家族」の方が大事なのだ。
 それなのに、その純粋な気持ちを竹流が守ってやらなかったこと、そのことが少年たちには腹立たしく、悔しかった。


 ――タケちゃんが悪いわけじゃないよ……。
 恒峨に従って歩きながら、香具弥は思っていた。
 もしかしたら自分の方が悪かったのかも知れない、もっとずっと前に素直になっていれば、よかったのかもしれない、と。
 だが、もしかしたら始めからこうなる運命だったのかもしれなかった。何の義理も縁も無い少女をよく見返りもなく、まだ年若い、その上自分すら大事にしないような青年が青春を棒に振って育ててくれたと、香具弥は心からありがたく思う。
 しかしそうは言っても竹流もまだ若いので、自分さえいなくなれば、これから彼の人生やり直しがきくかもしれない――彼女はそうも思っていた。

 香具弥は怖くて聞けなかったが、もし竹流に、自分と一緒にいて幸せだったかと尋ねたら、彼はそうだと答えるのだろう。優しく香具弥の頭を撫でてくれるのだろう。
 何故なら彼が彼女に、優しくない面を見せるわけないのだから。態度はぞんざいであっても、彼の中の負の感情を香具弥に対してぶつけることを、竹流は決してしないのだ。
 それが彼の本音であったり本性であるのかは、分からないが。
 香具弥はそのことに本当に救われてきた。しかし、それだけでは何かが足りないと、いつの頃からか思っていた。
 それが「何」なのか、どうしてそんな風に思い始めたのかは、少女には説明つかず、だからすれ違ったままでいるのだが……。

 未だ迷う香具弥を導き、「ある」場所へ辿り着いた恒峨は、月に向かってすっと手を伸ばした。
 すると月の光を辿ってそれを線路とするように、一両編成の汽車が上空から降りてきた。
 本当に、銀河●道9三つのようだ……と、香具弥は思ったが、実際にそれを目の前にすると、急に躊躇われてしまう。
 ――竹流の顔が心に浮かんだ。離れたくない! と焦り出した。
 せめてもう一度彼に会いたいと、香具弥は慌てて振り返ったが――、汽笛がどこからか耳に聞こえた時、月の光が一層強くなって香具弥を包み込み、彼女は動きを止めた。

 そして月の光を浴びたからか、その光と同じ黄金の輝きを持った瞳と、同じように黄金の光が反射する髪に少女の姿は変化すると、そのままゆっくり恒峨を見上げる。

 その「彼女」の思考から、「竹流」という存在に関わる記憶は一切、失われていた。

「さあ、『月姫』――、参りましょう」
 そしてその言葉にこっくりと頷くと、恒峨の差し出す手をとり、少女は汽車へと足を踏み入れた。


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 暗い家から飛び出した香具弥の眼には、徐々に涙が溜まってきた。
 誰でもいいから、誰かに傍に、居て欲しいと思っていた。できれば、「彼女」の存在を認めてくれる人に……。
 香具弥がいつもの公園に辿り着くと、大きな月を背に銀髪の美しい青年が立っていた。

 ――ああ、やっぱり来た。
 ――ああ、やっぱりいた。

 互いにそう思った。

「私……、何のためにタケちゃんの傍に、いたのかなあ……」
 香具弥はふらふらと、恒峨の元へ近付いた。
「……あの者は、貴女の仮の宿りなのですから――」
 黒い髪、黒い瞳――月の姫ではない証拠。ああでも、これから覚醒するのだろう。月姫として。恒峨は震える香具弥の肩に手を置いた。
「そっか……」
 香具弥はぼんやりと返事をすると、考える。では、今までは何だったのだろう。
 やはり自分は「此処」の者ではなく、竹流にとっても無意味なものだったのか――。

 香具弥はくすくすと笑い出した……そして笑いながら、泣いた。
 恒峨は表情のない銀の眼で、そんな彼女を見ながら思い出していた。

 もう何百年も前から、彼らの一族は彼女たち王族に仕えて来た。心、身体、命の全てを捧げて。
 手に入ることはなくても、その傍にいたい大切な少女。心から欲する、大切な、存在。
 だから瀞峨は月姫を、愛したこの少女を地に堕とした。

 未だに一族で語り継がれている瀞峨と能力も顔も生き写しだ、生まれ変わりではないかと、子供の頃から言われ続けて来た恒峨は、香具弥の細い肩をぐっと握った。
「月に行きましょう。貴女の、真の居場所へ――」
 香具弥は無意識のうちに、こくりと頷いていた。


 ・・・・・・・・・・


 夜の帳が下りた頃から、竹流は何か違和感を覚えていた。
 その理由も解らないまま、玉枝を自分の車に乗せて、とりあえず商店街へと帰ってきたのだが。

『確かに、今日のことは私も悪かったのかも知れないけどさ……それは謝るけど、私らとか全部切っても、あの子の面倒みたいって竹流が決めたんだから、私らと同じよーな、自分を見せない付き合い方でいい訳ないんじゃない?』

 帰り道、同じ煙草を吸いながら玉枝から食らった説教は、分かっていることだったが彼には結構効いた。
 あの少女に全てを隠してきたことが、間違っていたとは思っていない。それが最善だと、悪童と呼ばれていた彼なりに考えた。
 だが、それだけ……子供だと思っていた香具弥が、成長してしまったということなのだろうか。

 そう思うと思わず色々余分なことまで考えてしまい、竹流は車のハンドルに頭をぶつけそうになったが、事故になることもなく、無事に天野屋へ帰着しようとしていた。
 しかし家が近くなるに従って、竹流の心は逸り出す。

 ――こんな悪が傍にいていいのか、と何度も思った。でも、
『一緒にいたって、すごく遠い!』
 お前も、寂しかったんだろうか。

『何のために、一緒にいるの!?』
 ――そう言うお前こそ、どういうつもりで俺の傍にいたのか。

『それで、本当に分かり合えるわけない!!』
 ――分かり合う? 分かち合う? 何を? 誰と――?

 お前は一体、何を俺に望んだ? 一体、どうして欲しかった?
 そして、同じことを二人ともずっと望んでいたとでもいうのか?

 答えを求めるように、竹流は少し緊張しながら家のドアを開けるが――、そこには暗い闇があるだけだった。

「香具弥……!?」
 どくん……どくん……と竹流の胸が波打った。酷く嫌な予感がした。
 まだ帰ってないなんてことはないだろう。彼は一瞬、あの少年たちを疑ったが、それ以上にもっと嫌な感じがしている。
 さっきから在り続ける、この妙な違和感――。電気の点いていない家の中に、月の光が差し込む……。

「――!」
 そして、「あること」に気付いた瞬間、竹流は外へと飛び出した。

 違和感の正体はその夜空にある。
 暗い筈の夜空には丸い、丸い大きな美しい月が浮かんでいた。

「何、……で……」
 中秋の名月――運命の次の満月までには、まだ早いのに!? 何故……?
 ――まさか……、香具弥!
 妖しく不自然なほど美しい満月の下、大きな不安に駆られる竹流もまた、一人の少女を探して走り出した。


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終わりました…。某サイトさんで5月の真ん中から毎日更新していたお話…書きあがりました…!がんばった、自分…(何にもなりゃしないけど、とりあえず自分でほめとく;)。
というわけで、中編を一作品別に書いていたので更新とかメールのお返事とかがすごく滞っていて申し訳ありません。メール関係は順次お返事いたしますので、しばしお待ちくださいませ…。
で、この新作についてですが、夏を舞台にした物語なので、折角ですから7~9月にかけてなろうさんの方で再UP(新連載)しようかなあと考えています。
完結しているなら先に読みたい!と仰ってくださる方は、こちらのサイトさんに置いてありますので、takaoで検索していただけましたら嬉しいですが、なろう再UPバージョンはPC向けに少し描写を増やす予定ですので、そちらの更新を待っていただけても嬉しいです。
詳しい内容や裏話については再UP時にまたブログで書きますが、今はとにかく期日までに書きあがったことが嬉しいです~。読んでくださった方、もしいらっしゃいましたら誠にありがとうございました。

リクエストもいただいている中、需要のなさそうな新作書いていて申し訳ありませんが、一作完結させた時の達成感みたいなものはたまりません。
たくさん書きたいものばかりであっちもこっちもになってしまっていますが、少しずつですが書いていけたらと思います。

以下は、前回と同じお返事となりますが、アンケートでの続編リクへのお返事です。遅くなって申し訳ありません。

◆「幻影金魚」続編(清矢郎大学生編/2人の5年後/もっとらぶらぶしているところ)
→たくさんのリクを頂戴しているのですが、今のところ本編の雰囲気を重視したいので続編連載については未定で申し訳ありません…!ただらぶらぶほのぼのな2人の様子はSSで、次回アンケートお礼入れ替えの際に書くつもりですので、気長にお待ちいただけましたら幸いです…。

◆「もしかしたらの神様。」続編(大学卒業後(もちろんハッピーエンド))
→こちらは「月姫異聞」連載終了後に、中編を連載開始予定です。8月には開始できる…でしょうか。ただし本編のようなテーマのあるものが書けずに、ただのらぶらぶほのぼのものになりますが、お許しくださいませ。
他にもリクをいただいた、早海視点や斯波研キャラの出演などもある予定です。
また時間軸は、2人の初えちシーンをもう少し掘り下げたいので、本編終了後すぐからになってしまいますが、ご了承ください。未来編はいつかは書けたらと思いますが、すぐには書けずに申し訳ありません。ただしハッピーエンドは絶対にお約束しますのでv

それにしても、「もしかしたら~」の続編、R18にしようかR15にしようか悩んでいます…ううむ。
どちらがいいですかねえ?(笑)


<今後の目標>
・月姫完結
・銀糸下書き
・新連載開始
・ご要望よりキャラ紹介の作成


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