碧落の砂時計 月姫異聞―ACT5 二人目と三人目の求婚者―

碧落の砂時計

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 突然現れた月の使者に姫だと言われ、その呪い(?)のおかげで五人の求婚者までもが現れると宣言された香具弥。
 月の使者の出現に加え、幼なじみの火衣少年に突然告白された彼女は、立て続けの出来事に脳が事態を処理できず、とりあえずふらふらと本屋へ出かけていったのであった。

 香具弥は本を読むのが好きだ。だから彼女のストレス解消法は、独りで本屋で立ち読みすることだった。しかし冷房が効いた涼しい本屋で好みの本を物色していたところ……、
「あー、天野先輩だ」
「お久しぶりです」
ニ人分の少年の声に、彼女が振り返ると香具弥より十センチほど背の高いところにニつの顔があった。

「あれ? 磯貝家の双子……久しぶりー。元気だった?」
 香具弥はニ人の愛想の好い中学生の肩をぽんぽんと叩いた。この双子とは昨年までの中学時代、委員会が一緒であったのだが、彼ら自身注目を集めている存在であったにも関わらず、何故か目立たない香具弥に懐いていたのであった。そして香具弥も、軽薄そうな見かけの割に真面目で責任感のある彼らを可愛いがっていた。

「元気でしたが……」
「なあ」
 そのの双子の少年、龍と燕は顔を見合わせた。
「天野先輩が居なくなって……」
「寂しかった」
 以前と変わらぬ口調で口々に言われ、可愛がっていた頃が蘇り、香具弥は龍と燕の頭を撫でてやろうとしようとしたが――その手を同時にぱしっと掴まれた。彼女は驚いて、いつの間にか自分よりかなり背が高くなってたニ人を見上げる。
「そうじゃなくて……」
「もう一度会えたら、言おうと思ってました」

「「俺たちとつきあいませんか?」」

 右耳と左耳、両方から囁かれ、香具弥は茫然自失。
 そして両側にある整った笑顔をニつ交互に見ると、彼女は「とりあえず外に出よう……」と脱力して彼らを促した。
 外は暑かったが本屋で痴情のもつれを起こすわけにもいかない。香具弥にとっては一応後輩なので、本屋の前の自動販売機で三人分の缶ジュースを買うと、俺たちに奢らせろと喚くニ人に渡した。

「で?」
「だから、俺たちニ人とつきあうか」
「龍か俺のどっちかとつきあうか……選択肢は三つです」
「なんでニ人ともと、って選択肢があるの!?」
「だって兄弟って、一生離れられないんだからさー」
「修羅場とかしたくないじゃないですか」
 一卵生双生児のニ人は、同じ顔でにっこりと笑った。

「どっちも選べないって言われて、ニ人とも玉砕するくらいなら」
「いっそニ人とも選んで貰った方がお得とゆーことで」

「あんたら……」
 香具弥は龍と燕、ニ人の頭を軽くぽこぽこと叩いた。
「私はそーゆーの嫌なの!」
「「知ってます」」
 間髪入れない矛盾した言葉に、香具弥は遂にその場に崩れた。
「だから好きになったんじゃん」
「なー?」
 こいつらにはもう何を言っても無駄に違いない、と香具弥は思った。そしてふるふると立ち上がり、どうにか声を絞り出す。

「四つめの選択肢……、龍と燕、どっちもとつきあわない」
「「えー」」
 二人からは納得いかないというブーイング。
「もしかして……」
「誰か好きな奴とか居るんですか?」

「居ない!」と即答しようとした香具弥だが、後ろに人の気配を感じて振り返ると、そこには硬直した火衣が立っていた……。


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