碧落の砂時計 月姫異聞―ACT6 四人目の求婚者―

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 幼なじみの少年や後輩からの、突然の告白。月からの試練なのか、一気に「求婚者」が香具弥に詰め寄る。

 現れた火衣は怒りを含んだ声で、低く呟いた。
「磯貝 龍に燕……。元気そうじゃねえか……」
「はい。阿部先輩におかれましても」
「ご健勝のほど、お慶び申し上げます」
 今朝香具弥に告白した少年と、たった今告白した少年たちは、他愛ない挨拶を交わしながらだが、空気中の塵を燃やすほどの火花を視線の間で散らしている。
 火衣がどこから話を聞いていたのかは不明だが、磯貝家の双子が香具弥を慕っていたのは同じ中学でも有名な話であったし、龍と燕も香具弥と昔なじみのつきあいをしている火衣の存在はよく知っていた。

「……別に選ぶのは香具弥なんだけどさ」
 やはり双子の告白を聞いていたのだろう。火衣が独り言のように言った言葉に、誰も選ぶ気のない香具弥はぎくりとする。
「それは」
「そうなんですけど」
 龍と燕は、冷や汗をかいてる香具弥の右と左から腕を回して彼女を絡めた。暑い……と思う香具弥を火衣は乱暴に引き離して叫ぶ。
「勝手にベタベタくっついてんじゃねえ!」
「あーあ、自分が出来ないからってー」
「ねー?」
「そういう問題じゃねえっ!」
 しかしすぐさま双子に切り替えされ、くわっと噛み付く火衣。

 いつ拳がとぶかというような熾烈な言い合いが始まり、なんだなんだと本屋帰りの人々は振り返る。公衆の往来で恥ずかしいと思った香具弥はとりあえず止めてはみたが、挑発されてしまった火衣も引きたくないと息巻き、龍と燕も笑いながらも交戦している。
 しかし「私の為に喧嘩をやめて」と言うのも何か寒い気がする香具弥は、月の呪いではないかと、この突然の告白の数々をいまいち信じていないこともあり、困ったように三人を眺め呆然とすることしかできなかった。

 ――すると突然、
「恥知らずにつきあう事は無い」
という声がしたと思った瞬間、香具弥は腕を掴まれた。

 一瞬、低い声に竹流かと思った香具弥だが、見上げたその男は見たことはあるが知らない人物で、彼女と同じ高校の制服を着ていた。
 しかしその言葉には少なくともこの場からは救われると思ったため、香具弥は彼にされるがままに腕を引かれその場から連れ出してもらってしまった。

「あ! 天野先輩が!」
 燕の声に、至近距離でにらみ合っていた龍と火衣は素早く振り向いた。香具弥と同じ高校の少年と思われる見知らぬ背の高い男にずるずると引きずられていく彼女は、今まさに本屋の敷地内から出ていくところであった。
 三人は「トンビに油揚げ」を渡さぬよう追いかけようとしたが、
「ボーヤたち……。此処は喧嘩道場じゃないのよ……」
本屋から出てきたエプロン姿にハタキを持ち、スキンヘッドで顔に傷まである大柄な店長に、行く手を阻まれ、その顔を青ざめさせた……。


 さて香具弥と言えば、少し歩いた後近くの公園に辿り着き、そこでようやく同じ学校の少年は彼女から手を離した。
「――で、どいつとつきあってんだ」
 しかしこの少年に「ありがとう」と言おうとしていたところ、唐突にそう尋ねられ、彼女は驚いて礼の言葉を飲み込んだ。
「あの、すみませんが、どちら様でしょうか?」
 その言葉に彼は相当ショックを受けたらしい。
「天野香具弥……。如何に生徒会活動に興味が無いかが、うかがえるな……」
 彼曰く、香具弥の通う高校の生徒会長であるという石田 御行(ミユキ)は、切れ長の目で彼女を睨んだ。


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元ネタの求婚者様とその宝物や経緯を思い出し、けろけろと笑ってます。
・・・・『私の為に喧嘩は止めて!』→ 羞恥なんとか♪(R15?)

2008.12.16 08:07 URL | 廣瀬  #DS51.JUo [ 編集 ]

>廣瀬様
読んでくださってありがとうございます!(涙)
はい、少女漫画的ラブコメですので、笑ってやってくださいv確かに元ネタも滑稽、というかかぐや姫こわいですよね;ちなみに今回から出てくる会長は帝のイメージです~。

確かに羞恥ナントカ??でもこの頃の私は今では想像つかないくらいエロネタが少ないなあと自分でもびっくりです!
ちなみに「喧嘩をやめて」は某古い歌からです(苦笑/あれ、作詞者さんのだんなさんと誰かが取り合った時にできた歌だって噂を聞いたことが…)主人公が古いもの好きの子なので、思いつきそうだな、ということから♪
ちなみに次回サブタイは「修羅場」ですが、シュラバスキーにてドキドキな修羅場を書かれる廣瀬様には足元も及ばないドタバタで明るい修羅場シーンとなります(笑)そういったものでもよろしければまた読んでやってくださいー。

2008.12.16 17:15 URL | takao #KVcJ/2wY [ 編集 ]













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