碧落の砂時計 月姫異聞―ACT9 恋愛戦争―

碧落の砂時計

オリジナル恋愛小説の作品紹介+更新情報+お話置き場。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
 四人の男に言い寄られた、月姫・香具弥。突然のことに困ってしまったものの、だからと言って引き篭もってもいられない。なんとかなるさ!と彼女は今日も元気に学校へと出かける。

「……よお」
 その登校途中の道で、早速ばつの悪そうな顔をした火衣と出会った。
「おはよ……」
 香具弥は答えた。――妙な緊張の中、
「昨日は悪かった」
頭も下げずに早口に火衣は言い切った。しかしあまり彼に謝られたことのない香具弥は、驚いて火衣を見る。

 火衣は火衣で認めたくはないが、昨日の竹流の言葉の「急に言い寄っても逃げるだけ」にはそれなりに納得したらしい。そして言われたとおり個性を生かし、アピールすることにしたのか、このように潔く謝ったのであった。しかしこれが功を奏したか、
「別に火衣が悪い訳じゃないし……」
香具弥と元通り会話をすることに成功したのであった。
 それからニ人で苦笑し、他愛のない会話が再び始まった。こうして幼馴染である二人の、いつもどおりの登校風景が戻ってきた……はずだったが……。

「おはようございます!」
「天野先輩っ!……と阿部先輩」
「あ、おはようー」と呑気に答える香具弥に反し、哀れ火衣少年。龍と燕、双子の登場にいい雰囲気を粉々に砕かれた。
「てめえら……なんで……」
「だって夏の大会終わって」
「部活引退しましたから♪」
 だから朝練がなくこんな時間に登校出来るのだと言う。

「それにお前ら、家、逆方向じゃなかったか!?」
 訝しげに火衣は二人を睨みつける。そう、二人はわざわざ香具弥の家の方まで迎えに来たらしい。しかし火衣の突っ込みなど気にも留めず香具弥の荷物を持とうとする龍に、火衣が慌てて吠えかかれれば、片や燕が彼女の耳元で語りかける。
 ――なんで恋敵がニ人も……嗚呼、体がニつ欲しい、と火衣は一瞬真剣に思った後、はっと恐ろしい事を予測し、首をぶんぶん振ったが、
「暑苦しい。部活引退したのなら、その分受験に専念するんだな」
その不安は的中し、燕の体を香具弥からべりっと引き離したのは、やはり突然現れた御行であった。

「あ、会長。おはようございます」
 とりあえずちゃんと生徒会長に挨拶する香具弥。後輩としての礼儀は欠かさない。
「なんで、てめえまで……っ!」
「鍛錬のために、車での送迎を控えさせた」
 その言葉に、そういえば高校に何処か大きな会社の御曹司がいると聞いたが、会長だったのか……と香具弥は内心なるほどと思っていた。ちなみに御行は剣道部の主将も努めている。

 それにしても朝っぱらから四人の求婚者が集まり、騒々しくて仕方が無い。
 ときめくよりも呆れてきた香具弥は、やっと着いた高校の正門で四人に、放課後は一人で帰りたいと懇願した。
 とは言っても不安は尽きず、放課後、彼女はこっそり裏門から出ると、いつもと違う道で帰ることにしたのであった。

 さすがに今度こそ誰にも会わずにすみそうだ。ついでにスーパーで夕飯の買い物をした後、UFOのような形をした遊具がある公園を通りかかると――、
「ああっ!!」
忘れもしない、銀髪美形の青年、事の発端である月の使者・恒峨が、ベンチに座って電卓を叩いているではないか。

 香具弥の存在に彼が気づいた瞬間、
「あなた、ねえ!」
彼女は思わず恒峨に抗議するため詰め寄った。恒峨は突然現れた香具弥に驚いたようだったが、
「求婚者たちが姫に無礼でも働きましたか?」
ときょとんとした表情で言うので、
「あなたたちのせいでしょーーっ!??」
遂に彼女はキレて叫んでしまった。そしてぜはぜはと息を整えると、話を続けた。

 
>>ACT10へ
>>目次へ(ランキングへの投票はこちらから)

サイトTOPへ
 
スポンサーサイト












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://hekirakunokazamidori.blog106.fc2.com/tb.php/110-de2fc4e4

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。