碧落の砂時計 青竹迷風―第5話 罪(後編)―

碧落の砂時計

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※少年少女の性描写(R15以下)がある回です。

 ――自分を守るために、迷いはあってもどうしようも出来なかった人間関係。それでも父親のいうことも正論だと、一番の卑怯者は自分ではないかと、正義感の強い清矢郎は思った。

 清矢郎と父親の間の空気は気まずいままであったが、その年も祖母の家に赴く。清矢郎も自分の来訪を喜んでくれる祖母は大事にしたいと思っていたので、逆らいはしなかった。
 そしてその日も「彼女」は居た。会話はもうしていないが、優しく汚れのない雰囲気はそのままに。

 それを見て、少年は何かほっとした。――彼も気付かない深層心理では、度重なったストレスに彼女に甘えたくなったのかもしれない。
 しかしその日の夜、あさぎに生理が訪れたという話を母親同士がぼそぼそとしているのが、清矢郎の耳に聴こえてきた。

 まだ、立場は子供――大人には逆らえない、正義もふりかざせば「ウザイ」と言われる。
 なのに、身体は大人になっていく。生殖をする為に。
 そして子供社会でまかり通るわけがないのに、倫理の上では正しいことをせよと叩き込まれる。
 汚い人間関係にもこれからもきっとずっと巻き込まれていくのに、己や人に嘘をつきながら――。
 少年はやるせない想いに陥っていた。

 あさぎと広い家に二人きりになってしまったのは、そんな時だった。

 誰も居ない広い部屋。眼にしたのは、まるで少年のような、タンクトップに短いズボン、そこから伸びるすらりとした白い手足。
 母親達の話から、そこから漂っている気すらする、「女」の匂い。

 無防備な後姿が、少年の濁った眼に映る。

 アノ下ハ、ドウナッテイルノダロウ?
 汚レナイ、キレイナモノガソコニアル。
 アレニ触レレバ、全テハ、忘レラレルノカ――?

 そんなことを考えていたのかどうか――彼の中で何かが弾け飛んでしまった。

 ざわりざわりと、鬱蒼とした竹藪が胸騒ぎのように揺れる。
 夜空の向こうのブラックホールのように、真っ黒で、深く底無く、彼の心で何かが渦巻く。

 少年の凶暴な「それ」を「女」の本能で察し、失われていく二人分の「子供」の美しさを懸命に保とうとする――いじらしい、愛しい、年下の少女。

 唯一己を認め、信じ、優しく接してくれていた者。
 唯一己より弱い者、己が支配出来る者。
 そして、「女」となった者。

 ドンナ体ニナッタンダロウ――触リタイ。


 それに触れれば、全てを忘れられるのだろうか?


 今思えばぞっとするような自己中心的な欲求で、彼は少女に手を伸ばした。

 ……それは驚くほど、柔らかかった。壊れてしまうのではないかと思うほどに。
 本物のそれは小学生のささやかなものなのに、布越しでもふにゃりとした膨らみが感じられ、まだ実物を眼にしたことは無いが何もないと知っているその場所も、本当に男と違い何もなく丸みを帯びて柔らかかった。

 ただ胸と局部に、服の上からそっと好奇心で触れた。それだけだった。少年の胸はこれまでにないほど高鳴っており、彼の身体の中央は痛いほどに反応している。
 それ以上のことは考えられなかった。そこまで彼女を傷つけたい、侮辱したいとは思っていなかったから。
 実際に触れてみて「してみたいな」と、今まで自慰の度に沸き起こった衝動を改めて感じたが、そこまでの罪は近親者で小学生の彼女に対して犯せないと、ブレーキが掛かった。

 だが既にこれだけでも十分酷い罪となり、幼い少女を裏切り深く傷つけたのだということに、清矢郎はあさぎが絶望に呆然とする瞳を見て、ようやく我に返ったのであった――。


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